がん免疫療法コラム
抗がん剤治療で生じる貧血とは? 自分でできる対処方法と治療における対処方法を解説
薬物療法は、がん治療の代表的な選択肢の一つです。抗がん剤治療では、さまざまな副作用が生じますが、貧血が現れる場合もあります。
今回は抗がん剤を飲んでおり、貧血の副作用に悩んでいる方々に向けて情報をまとめました。自分でできる対処方法と治療における対処方法についても解説していますので、ぜひ参考にご覧ください。
INDEX
抗がん剤治療による貧血とは?
抗がん剤治療による貧血は、どのようなメカニズムで生じるのでしょうか。
抗がん剤治療では薬剤ががん細胞だけでなく、他の正常な細胞にも作用するため、貧血になる可能性があるのです。血液細胞をつくる働きが低下する骨髄抑制や、赤血球が普段よりも壊れやすくなる溶血によって、貧血が生じると言われています。
一般的に抗がん剤の治療開始後、1〜2週ほどで貧血の症状が起こりやすくなります。抗がん剤により高度の貧血を起こすことはまれですが、転倒など思わぬアクシデントによって大怪我をする可能性もありますので、注意が必要です。
貧血の定義
続いては、貧血の定義を紹介します。
貧血とは、酸素を全身にくまなく運搬する血球の数が減少している状態のことを言います。つまり、赤血球自体の酸素を運搬するヘモグロビンの能力が低下しているということになります。
主な症状
次に、貧血の主な症状を解説します。
軽度の貧血の場合は、自覚症状のない方もいます。一般的な症状は、以下の通りです。
- 顔色が悪くなる
- まぶたの裏が白くなる
- 口の中全体の赤みが減る
など。
中程度の貧血の症状は、以下の通りです。
- 心拍数が増加する
- 少し動くだけでも息切れする
- 頭痛
- めまい
- 耳なり
- 集中力の低下
- 不眠
- 疲れやすい
- 手や足が冷える
など。
重度の貧血の場合には、以下のような症状が現れます。
- 吐き気
- 食欲不振
- 陰部のかゆみ、おりものの増加
など。
抗がん剤以外に考えられる貧血の原因
がん治療における貧血は、抗がん剤だけが原因とは限りません。
貧血ががんそのものによって引き起こされているケースもあるのです。胃の手術後の吸収障害や、食事量低下による栄養素不足などによっても貧血が起こります。
自分でできる主な対処方法
続いては、自分でできる貧血への主な対策法を紹介します。
この項目では、抗がん剤治療中の方におすすめしたい抗がん剤治療時の感染症予防法と、抗がん剤治療後の貧血時の対処法を解説します。
抗がん剤治療時の貧血への対処法
まず、抗がん剤治療を受けるに当たり、貧血対策として取り組むべき対処法を紹介します。今回は、食事を工夫すること、できる範囲で運動やマッサージを行うこと、手洗い・うがいを欠かさないといった方法について解説します。
食事を工夫する
抗がん剤治療時の貧血への対処法1つ目は、食事を工夫することです。食事を工夫することで、徐々に貧血の症状改善を目指せます。貧血の際に心がけると良い、食事のポイントをいくつか紹介します。
食事のポイント1.一日三食規則正しく食べる。
貧血でお悩みの場合は、主食(穀類)、主菜(肉・魚・卵・大豆製品)、副菜(野菜)をバランス良く摂取することが大切です。偏った食事は避け、栄養素を満遍なく摂取できるように意識しましょう。
食事のポイント2.たんぱく質を多く含む食品を摂取する。動物性たんぱく質は、鉄の吸収を高める効果が期待できる栄養素です。バランスの良い食事を心がけながら、積極的に摂取しましょう。タンパク質を多く含む食品には、以下のものがあります。
- 魚(さば、まぐろ)
- 肉(レバー、牛ヒレ肉、豚もも肉、鶏もも肉)
- 卵
- チーズ
- ミルク
- ナッツ
- 豆
など。
食事のポイント3.鉄分を多く含む食品を摂取する。貧血改善には、鉄分を多く含む食品を摂取することをおすすめします。特に、ビタミンCには鉄を還元し吸収率を高める効果があるため、ビタミンCと鉄分を同時に摂取すると良いでしょう。
鉄分を多く含む食品には、以下のものがあります。
- レバー
- かき
- 干しそば
- かつお
- 春菊
- ほうれんそう
- パセリ
- そば
- ひじき
- シジミ
- プルーン
- レーズン
など。
できる範囲で運動やマッサージを行う
抗がん剤治療時の貧血への対処法2つ目は、できる範囲で運動やマッサージを行うことです。軽い運動やストレッチ、マッサージをすることで貧血のだるさを軽減できる可能性があります。無理をせずにできる範囲で行うことが大切です。
手洗い・うがいを欠かさない
抗がん剤治療時の貧血への対処法3つ目は、手洗い・うがいを欠かさないことです。
貧血になると、体内で酸素はもちろんのこと栄養分も行き届かなくなってしまいます。風邪や病気への抵抗力が低下するため、こまめに手洗いやうがいを行いましょう。
貧血の症状が現れたときの対処法
次に、貧血の症状が現れたときの対処法を紹介します。小まめに休憩する、その場にしゃがむ、衣服で体温調節をするなどの情報について、見ていきましょう。
小まめに休憩する
貧血の症状が現れたときの対処法1つ目は、小まめに休憩することです。貧血による転倒を防ぐため、疲れたときは楽な姿勢で休憩をするようにしましょう。日中はこまめに休憩すると疲労回復・気分転換になります。外出後も、何か行動する前に休憩をとることを心がけてください。
その場にしゃがむ
貧血の症状が現れたときの対処法2つ目は、その場にしゃがむことです。貧血の症状がある場合の対処法として、すぐにその場にしゃがみ、落ち着くまで動かずに様子をみることが重要です。
また、落ち着いても急に立ち上げることは避け、ゆったりと動き出しましょう。
めまいやふらつきがあるときに無理に動くと転倒や落下など、事故につながりやすいため大変危険です。薬物療法などによって貧血と血小板の減少が重なっているタイミングは特に注意が必要です。自分の状態と血液データなどの客観的な情報を把握し、貧血の進行状況を知ることも大切です。事故を起こすと、致命的な出血になる可能性もあるため、対処しましょう。万が一のことを考え、手すりを使ったり、道路は車道側ではない方を歩いたりすることをおすすめします。
衣服で体温調節をする
貧血の症状が現れたときの対処法3つ目は、衣服で体温調節をすることです。体のすみずみまで酸素がまわらず冷えを感じる可能性があります。衣服などで保温し、体が冷えないように工夫しましょう。
周囲の人にサポートしてもらう
貧血の症状が現れたときの対処法4つ目は、周囲の人にサポートしてもらうことです。
貧血でふらついたり日常生活を送りづらかったりする場合は、周囲の人にサポートしてもらうことが重要です。がん患者さんの家族や友人などは、患者さんが貧血でふらついていたり困っていたりしないか、見守るようにしてください。
治療における主な対処方法
続いては、抗がん剤治療中の方へ向けた、治療内容に関する貧血への対処法について紹介します。
輸血を受ける、症状を軽減する薬を使用する、治療方針を変更することについて解説します。
輸血を受ける
治療における主な貧血への対処方法1つ目は、輸血を受けることです。
ヘモグロビン濃度7g/dl以下など、ヘモグロビンの値が大きく低下している場合は輸血が行われるケースもあります。ただし、輸血が必要になるかどうかはその人の状態によって異なりますので、医師による慎重な判断が必要です。
症状を軽減する薬を使用する
治療における主な貧血への対処方法2つ目は、症状を軽減する薬を使用することです。輸血が必要となる前の段階では、貧血の症状を軽減する薬を使うケースがあります。
まずは医師の診察を受け、症状を相談することが重要です。
貧血の症状を軽減する薬剤には、鉄剤、造血効果のあるビタミン剤などが用いられます。薬の種類や量は状況に応じて担当医や薬剤師、看護師と相談しながら調整していくことが大切です。
治療方針を変更する
治療における主な貧血への対処方法3つ目は、治療方針を変更することです。
抗がん剤治療以外の治療や、貧血の副作用が出にくい治療、感染症が起こりにくい薬物治療に切り替えるという方法も検討されるケースがあります。治療方針を変更する場合には医師の診察を受け、症状を相談することが大切。さまざまな治療法のうち免疫療法は、従来の抗がん剤治療などで起こるような副作用が少ないと報告されています。
また、免疫療法は大きく以下の2つに分けられます。
- 免疫チェックポイント阻害薬による治療
- 免疫細胞療法
免疫チェックポイント阻害薬を使う治療法では、がん細胞が免疫を抑制する働きを解除することを狙います。手術後に追加する治療、もしくは手術が適応とならない進行がんの治療にも用いられる治療法です。
主な免疫チェックポイント阻害薬は、以下。
- PD-L1阻害剤
- PD-1阻害剤
- CTLA-4阻害剤
免疫細胞療法は、手術・放射線治療・薬物療法と組み合わせることで、 相乗効果が期待できる治療法です。免疫細胞療法にはさまざまな種類があり、エフェクターT細胞療法、アルファ・ベータT細胞療法、NK細胞療法、NKT細胞標的治療、6種複合免疫療法などがあります。
まとめ
今回は、抗がん剤治療で生じる貧血について情報をまとめました。
抗がん剤治療で生じる貧血が生じた際、自分でできる対処方法として、食事を工夫すること、できる範囲で運動やマッサージを行うこと、手洗い・うがいを欠かさないことなどがあります。
また貧血による転倒を防ぐため、小まめに休憩したり、その場にしゃがみ転倒回避したりすることを推奨します。
治療における対処方法としては、輸血を受ける、症状を軽減する薬を使用する、治療方針を変更するといった選択肢があります。
どの方法もまずは医師や看護師に相談することが重要です。
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