6種複合免疫療法
がん免疫療法

「第四の選択肢」としてのがん免疫療法
がん免疫療法は、がん治療の第四の選択肢と呼ばれています。従来から、「外科手術」、「化学療法(抗がん剤)、「放射線治療」ががんの三大療法と呼ばれてきました。いずれの方法も長い歴史の中で発展してきたがんの治療法ですが、現在に至ってもそれぞれにメリット・デメリットが存在しています。
がん免疫療法についてもその歴史は長く、1980年代にアメリカの国立がん研究所でスティーブン・ローゼンバーグ医師によって行われた研究がその始まりだと言われています。
その後も世界中で研究が積み重ねられ、近年の技術進歩、特に再生医療や遺伝子解析の技術が飛躍的に発展した結果、一般的ながん治療の方法として確立されるようになりました。
がん免疫療法の特徴は、私たちの体の中にもとからある免疫の力を使う点にあります。免疫の状態をより良くし、がんと闘いやすい状態を作ることによって、がんの発生・増殖を防ぎ、既にあるがんについては縮小・消失を狙います。
このため、従来の三大療法と比較して副作用や体への負担が少ないことがメリットとして挙げられます。
※下表は画面に収まらない場合、左右にスライドしてご覧いただけます。
外科手術 | 化学療法 (抗がん剤) |
放射線治療 | 免疫療法 | |
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メリット |
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デメリット |
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※上表は画面に収まらない場合、左右にスライドしてご覧いただけます。
採血と点滴による治療
6種複合免疫療法では、30㏄の採血により一度体の外に免疫細胞を取り出し、6種類の免疫細胞を培養によって同時に活性化・増殖させます。約3週間の培養で、1,000~2,000万個だった細胞が20~50億個にまで増殖します。活性化・増殖した免疫細胞を点滴の形で投与し、再度体の中に戻します。

6種複合免疫療法
免疫細胞のチームプレー
6種複合免疫療法は、それぞれ役割が異なる代表的な6種類の免疫細胞が1つのチームとなって働くことで、より高い効果を目指します。


- ヘルパーT細胞 免疫の司令塔となる
- ヘルパーT細胞は、免疫の司令塔と言われる細胞です。樹状細胞から異物(抗原)の情報を受け取ると、免疫活性化物質(サイトカイン)を放出してキラーT細胞やNK細胞などの各実行部隊に攻撃の指令を出します。

- キラーT細胞 指令に忠実に働く
- キラーT細胞は、自分自身を証明する「証」を持っているがん細胞を破壊することができます。しかし多くの場合、がん細胞は自分自身を証明する「証」を隠しているため、すべてのがん細胞を破壊することができません。キラーT細胞は、CTL細胞(細胞障害性Tリンパ球)とも呼ばれています。

- NK細胞 がんを見つけ次第、退治する
- NK(ナチュラルキラー)細胞は、常に体内をパトロールしています。がん細胞を見つけると直ちに攻撃を開始し、がん細胞を破壊します。NK細胞は「証」を持っているがん細胞も、隠しているがん細胞も見つけ出し、直接攻撃・破壊することができます。しかし時には「証」を持っているがん細胞を取り逃がしてしまうこともあります。

- NKT細胞 自らも戦う、がん治療の究極の助っ人
- キラーT細胞とNK細胞の問題を解決できる、両方の性質を持つ新しいタイプのリンパ球です。自分自身を証明する「証」を隠しているがん細胞を見つけ出し、直接攻撃・破壊することができます。がん治療において究極の助っ人のような存在で、抗がん剤や放射線で傷害を受けた細胞や組織の修復もできることがわかってきました。

- γδT細胞 抗腫瘍作用でがんを退治する
- γδ(ガンマ・デルタ)T細胞は強力な抗腫瘍作用をもち、自分自身を証明する「証」を隠しているがん細胞でも排除します。また、感染初期の免疫反応に応え、感染症から全身を防御したり、傷害を受けた細胞や組織の修復を助ける働きがあります。

- 樹状細胞 敵の情報を入手し、攻撃目標を伝達
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抗原提示細胞とも呼ばれ、門番のような存在です。体内に侵入してきた異物(抗原)をいち早く見つけ出し、その情報をヘルパーT、キラーT、NKTなどの免疫細胞に伝え、免疫反応が起こるようにスイッチを入れる役目をする細胞です。
末梢血中の樹状細胞は未熟であり、がん抗原を認識することが困難です。樹状細胞が成熟するためには活性化したNKT細胞の存在が必要です。特許を取得した最新技術によりNKT細胞を活性化し、樹状細胞を成熟させます。
また、成熟した樹状細胞は体内でNKT細胞を活性化、増殖させます。6種複合免疫療法「CSC」では、成熟した樹状細胞に全配列型WT1ペプチド抗原、がん幹細胞ペプチド抗原を認識させて、がん細胞を攻撃する強力な免疫反応を引き起こさせます。
効果と実績
約78%の治療有効率
6種複合免疫療法「CSC」(6回/1クール)を受けたがん患者様を対象とした治療実績をご紹介します。1クール終了後にCT、 MRI、PETなどで、がん病変の測定が可能、かつ治療前後で患者様の追跡調査が可能だった直近の235名(男性114名、女性121名)の有効率は以下の通りです。(2018年9月現在)
- 判定基準
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- 完全(CR)・部分寛解(PR)
- 腫瘍が消失。又は30%以上縮小した。腫瘍マーカーが下がった。再発の兆しが無い状態。
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- 長期不変(Long SD)
- 腫瘍の大きさ、転移の状況も不変。腫瘍マーカーが下降あるいは横ばいの状態。生活の質が改善された状態。
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- 延命効果(SD)
- 治療に関わらず腫瘍が少しずつ増大し、腫瘍マーカーも少しずつ上昇しているが、緩やかな進行と思われる状態。
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- 無効(PD)
- 治療に関係なく、腫瘍の増大や転移がみられるなど、病状が進行した状態。
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治療有効率:約78%
- A判定:完全・部分寛解39%+B判定:長期不変39%
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(治療有効率:治療効果判定の国際的基準であるRECISTガイドラインに準拠)
直近235名のうち183名(78%)が治療有効(完全・部分寛解39%+長期不変39%)と評価できました。
- ●免疫療法単独で治療した患者様(88名)
- A判定・B判定(長期不変)が67名(76%)
- ●抗がん剤を併用した患者様(147名)
- A判定・B判定(長期不変)が116名(79%)
- 病期と判定
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- ステージI
- 腫瘍が小さく、隣接する組織に広がっていないがん。早期がんと判断。
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- ステージII
- 比較的腫瘍が小さく、広がりも周囲のリンパ節や隣接する組織までに留まっている状態。
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- ステージIII
- 腫瘍が比較的大きく、隣接する臓器にまで広がっている進行がん。
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- ステージIV
- 腫瘍が離れた他の臓器にまで転移している状態。(遠隔転移あり)
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直近235例の効果測定結果の病期(ステージ)別内訳です。

