がん免疫療法コラム
治療しないと余命やリスクはどうなる?癌になっても積極的な治療を受けないという選択
「癌になったら治療しないといけないの?」「治療しなかったらどうなるんだろう」「高齢者の場合、積極的な癌治療をしないこともある?」など癌治療に関して、このような疑問を抱えている方は少なくないでしょう。
そこで今回は、癌の治療をしないという選択肢や癌治療の必要性、高齢者の癌治療や緩和ケアについて説明していきます。一緒に癌治療について考えていきましょう。
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癌になっても積極的な治療をしないとどうなる?
「自分らしく生きる」という選択の中には、治療しないという選択も含まれています。特に高齢者の中には、積極的ながん治療を選択しないケースが増えてきているのが現状です。しかし、治療を選択しない場合のリスクを正しく理解することは極めて重要です。
まず基本的に、がんは進行する病気です。治療を行わないと、がん細胞は増え続け、健康な細胞や組織を侵害し、進行していきます。一般的ながんの進行状況に関しては、初期段階では症状がほとんど現れないことが多いですが、進行とともに症状が現れ、生命に影響を及ぼすリスクが高まってきます。
一方で、がんの自然治癒に関する論文では、「がんが自然退縮する頻度は、6万人~10 万人に1人ぐらいの頻度でみられる」とされています。しかし、これは非常に低い確率であり、現実的には考慮することは難しいでしょう。そのため、がんは基本的には治療しなければ根治することはなく、最悪の場合、死に至ることもあります。
それでは、なぜ特に高齢者の中でがん治療を選択しないケースが増えているのでしょうか。高齢者においては、がん治療の副作用や治療後の生活の質、残された時間の質を重視する考えが強くなります。例えば、強力な抗がん剤治療を行うことで、体力の低下や多くの副作用によって日常生活が困難になることが考えられます。このような場合、治療を積極的に行うことが、かえって高齢者の不利益になる可能性があります。そのため、治療の選択は、患者本人の価値観や生活の質を最優先に考え、医師と十分なコミュニケーションを取りながら決定することが大切です。
(論文:癌の自然治癒 著者:岩永剛https://ir.library.osaka-u.ac.jp/repo/ouka/all/24902/ocrf_40_21.pdf)
癌を治療しない場合の余命は?手術は必要?リスクは?
癌は、現代医学が取り組む疾患の中で非常に難しく、多様な治療法が存在します。その代表的なものが、手術と化学療法(抗がん剤)です。
手術による治療は、直接的にがん腫瘍を体外に取り除く方法として最も確実なものの一つです。しかし、麻酔を伴い、体を切開することから体への負担が大きくなることは否定できません。一方、化学療法は、抗がん剤を使ってがん細胞の増殖を抑制し、消滅させる方法です。抗がん剤は血液中に入るため、全身に効果を及ぼしますが、それに伴い様々な副作用が現れることも特徴です。貧血、吐き気、口内炎はもちろん、髪の脱毛といった外見上の変化も伴うことがあります。
こうした治療の背景には、癌が一度増殖を始めると、放置すれば進行し続ける特性があるためです。そして、大きな腫瘍だけでなく、化学療法を用いて再発の原因となる小さながん細胞も取り除く必要があるのです。
治療を選択しない場合、具体的な余命は癌の種類や進行度によるため一概には言えませんが、明らかに治療を行う場合と比べ、生存期間が短くなるリスクが高まります。加えて、進行する癌による症状や合併症も増加し、日常生活に支障をきたす可能性も考慮しなければなりません。
全ての薬に副作用があるように、癌治療にも副作用は避けられません。しかし、自然に癌が治癒する確率は極めて低く、人生をより長く、そして質の高いものとするためには治療を選択することが多くの患者様にとって必要とされています。治療を選ぶか、選ばないかは患者様の価値観や情報の取得によって最終的に決められるべきですが、その選択を後悔しないためにも、専門家との十分なコミュニケーションや情報収集が必要です。
治療以外の選択「緩和ケア」について
緩和ケアとは、単に病気そのものに焦点を当てた治療だけでなく、患者様の精神的、社会的側面までをケアし、人生の質(QOL)を高めるためのアプローチです。治療による直接的な効果を求めるだけでなく、患者様の様々な苦痛や不安を軽減することがその目的です。
特に高齢者においては、治療を進めることで生じる身体的・精神的な負担が大きいため、緩和ケアやそれに準じた治療法の選択が増えてきています。高齢者は、体力や持病などの背景があり、強い治療による副作用や負担を避けたいと考える方が多いのです。そのため、痛みや不快な症状を和らげる緩和ケアが重視されることが増えてきました。
治療の選択肢を選ぶ際には、その人の年齢や健康状態、価値観などを考慮して、最も適切な方法を選択することが大切です。そして、高齢者にとって、緩和ケアはその中で非常に有効な選択肢となることが多いのです。
まとめ
自身が納得した選択ができるよう、医療機関に相談しサポートを受けることは大切です。様々な選択肢をもつためにも、定期診断や受診の検討をおすすめします。
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