がん免疫療法コラム
終末期の経過について
生存期間が約1か月から2か月程前までは比較的元気に過ごしている事が多いですが、しかし生存期間が約1か月前になると以下の症状の出現や身体の機能も徐々に低下していきます。
【月単位】
〇食べる量、水分の量が減っていきます。〇
病状が進むにつれ食べる量、飲む量が少なくなっていきます。主に病気その物が原因で腫瘍による通過障害、便秘、嘔吐、嘔気、心因性などが関係します。
〇身体がだるくなる。〇
主にがんによる症状や治療、薬剤による副作用などから起こります。動く度により息も上がり、不眠、不安や落ち込みなども見られます。
【週単位】
〇飲み込む力が弱くなる。〇
がんによる症状や機能の衰えにより飲み込む力が弱くなります。そのため食事や水分の量も減り体力や筋力も低下していきます。
〇尿の量が減る。〇
水分が減り脱水状態となり心臓や腎臓の機能も衰えるため尿の量が減ります。
〇会話が少なくなる。眠る時間が多くなる。〇
生存期間が約1週間前頃になると機能の低下によりだんだんと眠っている時間が多くなります。
〇せん妄〇
生存期間が約2週間前頃に見られます。せん妄とは身体的異常や薬物によって急性に発症する意識障害で主な症状として幻覚、妄想、見当識障害、興奮、気分の変動、落ち着かなくなる、つじつまの合わない事を言う、などがあります。原因としては主に低酸素、代謝異常、薬剤、炎症などにより脳からの神経伝達物質のバランスが崩れた事が関係しています。
【数日から数時間】
〇ウトウトと眠る時間が多くなる。
ウトウトと眠っている事が多く、意識も低下していきます。意識が低下すると苦痛も感じなくなります。また、言葉も出にくく応える力もなくなっていきます。音や声は最期まで聞こえるため呼びかけると反応する事もあります。
〇喘鳴〇
気道に痰や唾液が増え、筋力や咽頭や喉頭の衰えにより出す事が難しく、また唾液をうまく飲み込む事ができなくなるために気道内にたまり呼吸の度にゴロゴロとした音が聞こえます。
〇下顎呼吸〇
胸郭の動きが小さくなり下顎を使ってあえぐ様な呼吸をします。
〇チアノーゼ〇
皮膚が青紫色になった状態です。うまく呼吸を行う事ができず血液の酸素が不足した状態によって起こります。
〇脈が触れなくなる。血圧も低下します。〇
心臓の機能の低下により血液をうまく送る事ができなくなるため脈が触れなくなり、また血圧も低下します
【まとめ】
死が近付く事は患者様本人やご家族様にとってとてもつらい事です。中にはその様な事は考えたくない。受け止められない方もいるかもしれません。経過には個人差や予期せぬ急変も多いにあります。これらの症状や機能の衰えは身体が死に向かっている事を意味します。そのため事前に知る事で心構えになり「それからどうするか?」など自分なりに考えやすくなります
【参考、引用文献】
死亡直前と看取りのエビデンス
一般病棟でもできる終末期がん患者の緩和ケア第3段