がん免疫療法コラム

がんになるとお腹に水がたまる? 原因と治療について解説

がんになるとお腹に水がたまる「腹水」と呼ばれる症状が見られることがあります。腹水は腹部膨満感や便秘、食欲不振などさまざまな症状を引き起こします。場合によっては、息切れや呼吸困難になることもあり、QOL(生活の質)が大きく低下することもあるでしょう。

本記事では、がんによる腹水の原因と治療法について解説します。

がんによる腹水とは?


腹水とは、お腹の中に体液が溜まってしまった状態のことをいいます。さまざまな原因で発症し、がんもそのうちの一つです。全ての腹水症例の約10%はがんが原因であり、がん患者さん全体の約6%ががんによる腹水の症状を示すことがあります。

腹水が大量に溜まってしまうと、薬物療法や放射線治療などの一部のがん治療が難しくなることがあります。それは、体液がたまることによって内臓間のスペースが狭くなり、治療薬の効果を最大限に発揮するのが難しくなるためです。

がんで腹水が発症するメカニズムは、お腹の中に散らばったがん細胞が炎症を起こすことが関係しています。がん細胞が炎症を起こすと、その周辺の血管から水分や血液成分が漏れ出し、これが腹水となってお腹の中に溜まります。

腹水の原因

腹水の原因で最も多いのはがんによる性腹膜炎です。がんの肝転移などによっても腹水が溜まることがあります。また、リンパ管の損傷や閉塞によるリンパの流れの障害も腹水の原因となる場合があります。

腹水を伴いやすいがんの種類としては、卵巣がん、子宮体がん、乳がん、大腸がん、胃がん、膵臓がんなどが挙げられます。これらのがんは、腹腔内に広がりやすい性質を持つため、腹水の原因となりやすいと考えられています。

また、一度は治癒したがんが再発したり、他の部位に転移したりすることによっても腹水が溜まることがあります。腹水の原因は多種多様であり、それぞれの症状や体調に合わせて医師による総合的な診断が必要です。

腹水の症状


腹水がたまるといろいろな症状が起き、QOL(生活の質)の低下につながることがあります。ここでは、腹水の症状について紹介します。

腹部膨満感

腹水が溜まると、多くの人が腹部膨満感に悩むことがあります。この腹部膨満感は、さまざまな症状として現れます。例えば、「お腹が張っている感じがする」、「胃やお腹が重苦しい」、「ゴロゴロという音がする」、「ガスがたまっているような感覚がある」、「便が出そうで出ない」、「げっぷが出る」といった症状です。

消化器症状

腹水がたまると、消化器系に関連するさまざまな症状が現れることがあります。腹水が溜まることで、お腹の内部でプレッシャーがかかり、胃や腸などの消化器官に影響を及ぼします。その結果、腹痛が生じることがあります。また、胸やけの感覚が起きることもあります。これは胃酸が逆流し、食道を刺激することが原因です。

さらに、悪心や嘔吐の症状が現れることもあります。腹水が腹腔内のスペースを圧迫し、胃や腸の動きが悪くなるからです。そして、食欲不振が生じることもあります。

呼吸器症状 

腹水が溜まると、胸部に対する圧迫感や息切れといった呼吸に関連する症状が現れることもあります。腹水は腹部を膨張させ、その結果、胸郭と肺に向けて圧力がかかります。この圧力が高まると、胸郭が圧迫され、肺の拡張が阻害されるため呼吸困難が生じます。

また、息切れを引き起こすこともあります。通常の活動でさえ、呼吸が重く感じられ、息が十分に吸えないという感覚が生じます。腹水が溜まると、体が普段以上に酸素を必要とするため、息切れが起きやすくなります。

その他身体的症状

腹水が溜まると、倦怠感、足のむくみ、不眠など、さまざまな身体的症状が現れることがあります。

倦怠感は、体が常に重い水分を支えているために起こります。さらに、腹水は身体のエネルギーを消耗するため、日常の活動が困難になることもあります。

足のむくみは、腹水によって下半身への血流が妨げられることが原因です。特に、長時間立っていると顕著になります。

また、腹部の圧迫感や不快感は不眠を引き起こす可能性もあります。特に、横になると腹水が胸部に移動し、呼吸が苦しくなるため、夜間の睡眠が困難になることがあります。

がん治療により腹部膨満感が増す場合も


がんの治療は多岐にわたります。手術療法、放射線療法、薬物療法、免疫療法、光免疫療法など、種類や方法は多種多様であり、患者さん一人ひとりの病状や体調、がんの種類や進行度によって最適な治療法が選択されます。

しかし、これらの治療法の中には、腹水の特徴的な症状である腹部膨満感を増強させる可能性があるものも存在します。例えば、化学療法では、体内の液体バランスが乱れてしまうことで腹水が増えることがあります。また、手術後の合併症や治療の副作用として腹水が生じることもあります。

治療選択の際には、そのようなリスクも考慮し、医師とのコミュニケーションを通じて最適な方法を選ぶことが重要です。

開腹手術による影響

手術療法は、外科手術を通じてがんを直接切除する治療法のことを指します。直接がん細胞を取り除くことで病状を改善し、症状の軽減を図ります。しかし、切除した部位以外にもがん細胞が存在する場合、治療後に再発する可能性があります。

また、手術による治療は、その後の合併症を引き起こす可能性もあります。具体的には、手術によって麻痺性イレウス(腸の蠕動が低下する状態)や腸管癒着を起こすことがあり、これらが腹部膨満感の増加につながることもあります。

薬物療法による副作用

薬物療法は、抗がん剤などの化学物質を用いた治療法で、主に点滴や飲み薬の形で投与されます。薬物は体内に行き渡り、がん細胞の成長や分裂を抑制し、最終的には破壊する効果があります。

しかし、薬物療法には副作用が伴うのが一般的です。中には、薬物が腸管の運動を抑制し、便秘を引き起こすケースもあります。これにより、腹部膨満感が増すことがあります。

がんによる腹水の治療法


がんによる腹水の主な治療法を以下に紹介します。

利尿剤

利尿剤の服用は、腹水の改善に効果的な場合があります。利尿剤は腎臓の機能を高め、体内の余分な水分を尿として排出する作用があります。これにより、体内に溜まった腹水が減少し、腹部の膨満感やその他の不快な症状が軽減する可能性があります。

しかし、利尿剤は体内のバランスを崩す可能性もあるため、使用する際は医師の指示に基づいて行うことが重要です。また、効果の程度は患者さんの病状や体質により異なります。

化学療法

腹部膨満感を減らす薬を投与する方法です。抗がん剤は、がん細胞の分裂を抑え、症状の進行を遅らせることで、腹部膨満感の軽減に効果的な場合があります。また、筋弛緩作用のある抗不安薬も使用されることがあります。

さらに、神経ブロックという手法もあります。これは硬膜外ブロックや腹横筋膜面ブロックなど、特定の神経を遮断して痛みを軽減し、腹部膨満感の改善を目指す方法です。

腹水穿刺ドレナージ

腹水の治療法の一つとして、腹水穿刺ドレナージがあります。お腹にカテーテルを挿入し、腹水を体外に排出する方法です。確実な症状緩和が見込まれ、在宅でも行うことが可能な場合があります。

しかし、この方法にはデメリットも存在します。出血、血圧低下、腎機能低下、さらには消化管や肝臓への穿刺リスクがあります。また、「腹水を抜くと栄養状態や免疫機能が悪化し、体が弱る」という考え方もあるため、治療を避ける医師もいるのが現状です。腹水には栄養や免疫に関わるタンパク質が含まれているため、これを排出すると体力の低下につながり、さらに腹水が溜まりやすくなる可能性もあります。

腹腔静脈シャント

シャントチューブを利用した治療法も腹水の緩和策として存在します。この方法では、シャントチューブを通じて腹水を静脈へ還流させ、腹水の量を減らします。腹水穿刺ドレナージが必要な人にとっては、頻度が減ったり、穿刺が不要になったりするメリットがあります。

しかし、リスクも伴います。シャントチューブには閉塞(シャント不全)のリスクがあります。また、急性心不全や肺船側賞といった重大な合併症を引き起こす可能性もあるので、事前に理解しておくことが大切です。

腹水濾過濃縮再静注法

通称、CART(cell-free and concentrated ascites reinfusion therapy)と呼ばれる方法です。CARTとは、腹水を採取し、細菌や細胞を除去する一方で、タンパク質を回収して濃縮し、その後静脈へ再投与するという治療法です。タンパク質を急速に失うことによる栄養不足や免疫力の低下を防ぐことが目的です。

CARTはコストが高いものの、腹水の治療が困難と診断された場合には保険が適用されることもあります。ただし、腹水濾過濃縮再静注法の効果については、明確なエビデンスはまだ存在していません。

食事療法・水分制限

塩分制限や飲水制限は、腹水治療の一部として行われることがあります。これは腹水の増加を抑え、体調を安定させるための手段と考えられています。

しかし、この手法に関しては、医学的なエビデンスが明確に確立されていないという点が指摘されています。そのため、塩分制限や飲水制限を行う際は、医師や栄養士と十分に相談を行うことが重要です。

輸液量の調整

終末期がんの場合、適切な輸液量の調整が腹水の改善につながることがあります。これは体内の水分バランスを適切に維持することで、腹水の増加を抑制し、患者さんの不快感や体調の悪化を緩和することを目指すものです。

しかし、適切な輸液量は個々の患者さんの状態によって異なるので、専門的な医療チームと密に連携しながら治療を進めることが重要です。終末期の患者さんのケアにおいては、生活の質の向上と症状緩和が最優先となるため、それぞれの症状に対する適切な対策が求められます。

腹水治療とがん治療を並行するなら免疫療法という選択肢も


腹水治療とがん治療は同時に進行することが可能です。医師は患者さんの状況を詳細に分析し、複数の治療法の中から最も適切な手法を提案します。

特に注目すべき新しい治療法として、免疫療法があります。これは、自身の免疫力を高めてがん細胞を攻撃する治療法で、一部の血液系がん以外のがんにも適応が可能であり、近年はその研究開発が急速に進んでいます。また、免疫療法は腹部膨満感を増加させるといった副作用が指摘されていないため、腹水治療と併用する場合にも効果的です。

なお、腹水を抜くという治療は、腹水に含まれる免疫に関わるタンパク質が減少し、免疫力が下がるという考え方もあります。このようなケースでは、免疫力を補う免疫療法が有効に働くと考えられます。

6種複合免疫療法とは?


「6種複合免疫療法」は、免疫細胞のチームプレーによりがん細胞を攻撃する新たな治療法です。この方法では、6種類の免疫細胞を同時に培養し、増殖・活性化させることで、それぞれ異なる効果を最大限に発揮させます。

まず、NK細胞は”Natural Killer”の略で、直接がん細胞を攻撃し、破壊する働きがあります。次に樹状細胞は、免疫系の「指令塔」のような役割を果たし、体内の異常を認識し、その情報を他の免疫細胞に伝達します。ヘルパーT細胞は、樹状細胞から情報を受け取り、免疫応答を調整し、他の免疫細胞を活性化します。

また、キラーT細胞は、特定のがん細胞を見つけ出し、攻撃する能力を持っています。最後に、NKT細胞はNK細胞とT細胞の両方の特性を持ち、がん細胞の破壊と免疫応答の制御の両方を担当します。

これら6種類の免疫細胞が組み合わさることで、がん細胞に対する攻撃力が強化され、より効果的な治療が可能となるのが、「6種複合免疫療法」です。

6種複合免疫療法

まとめ


本記事では、がん患者さんにとっての大きな悩みである腹水について解説しました。腹水はさまざまな症状を引き起こし、場合によってQOLを大きく下げることもあります。腹水の治療法についても紹介しましたが、特に注目すべきは、新しい治療法である免疫療法の可能性です。

免疫療法は腹部膨満感などの副作用が指摘されていないため、がんの腹水に悩んでいる方には有益な治療法であると言えます。

福岡同仁クリニックでは、免疫療法の一つである「6種複合免疫療法」を提供しています。

6種類の免疫細胞を一度に培養し、それぞれががん細胞に対して異なる役割を果たすことで、高いがん治療効果が期待できます。

免疫療法は一部の血液系がんを除く、多くのがん種に対応しています。がんの腹水や腹部膨満感にお悩みの方は、一度検討してみてはいかがでしょうか。

6種複合免疫療法についてさらに詳しく知りたい方はこちらよりご確認ください。

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