がん免疫療法コラム
抗がん剤による便秘とは? 自分でできる対処方法と治療における対処方法を解説
一般的ながんの治療法として、手術療法・放射線療法・薬物療法があります。薬物療法では、抗がん剤を用いることが多いですが、副作用の出現というリスクもあります。
今回は、抗がん剤の副作用による便秘について解説します。現在抗がん剤を飲んでおり、便秘の副作用に悩んでいる方に向けて、自分でできる対処方法と治療における対処方法を紹介します。
ぜひ参考にご覧ください。
INDEX
抗がん剤治療による便秘とは?
抗がん剤にはさまざまな副作用があり、治療に伴って便秘になる可能性があります。便秘は、抗がん剤により腸の動きが抑制され、食べたものが肛門へと正常に運ばれなくなることが原因だと言われています。
また、痛み止めや吐き気止めなど、抗がん剤の副作用対策の薬の副作用によって便秘になるケースもあります。副作用が辛いときや体調に異変を感じたら、まずは医師に相談しましょう。
便秘の定義
便秘の定義は以下の通りです。
- 通常の回数より排便が少ない状態
- 3日以上排便がない状態
- 排便が困難な状態または排便後も残便感が残る状態
主な症状
次に、抗がん剤の副作用の一つである便秘の主な症状を紹介します。
- 腹痛
- 排便時の肛門痛
- ガスがたまっている
- 腹部膨満感がある
- おならの回数が増える
- 悪心
- 食欲不振
- 頭痛
- 口臭
など。
抗がん剤以外に考えられる便秘の原因
がん治療における便秘は、抗がん剤以外の原因によって引き起こされることもあります。
抗がん剤以外の便秘の原因は、以下の通りです。
- がんそのものによる大腸圧迫、閉塞
- 加齢
- 糖尿病や甲状腺機能の低下
- 食事量や水分摂取量の低下
- 運動量の低下
- ストレス
など。
便秘を避けるために、ストレスの少ない健康的な生活を送ることを推奨します。
自分でできる主な対処方法
続いては、抗がん剤治療中の方向けに自分でできる便秘への対処法について紹介します。
今回は、食物繊維や脂肪を取る方法・水分を小まめに取ること・生活リズムを整えること・腸を刺激する方法について紹介します。
食物繊維や脂肪を取る
抗がん剤治療中の方向けの自分でできる便秘への対処法1つ目は、食物繊維や脂肪を取ることです。便秘でお悩みの方には、食物繊維を積極的に取ることを推奨します。食物繊維を摂取することで、便の量を増やしスムーズな排便を促すことができます。食物繊維を多く含む食品には、きのこ、海藻、穀物などがあります。食事に無理のない程度に、取り入れてみましょう。
こまめに摂取できるよう、家に食物繊維豊富な食材をストックしておくのも良いかもしれません。
また、腸粘膜を刺激しスムーズな排便を促すために、適度な脂肪を取ることもおすすめです。
水分を小まめに取る
抗がん剤治療中の方向けの自分でできる便秘への対処法2つ目は、水分を小まめに取ることです。体内の水分量を保つことで、便秘を解消できるケースがあります。
また便の水分が増えることで、スムーズに排出しやすくなります。水分摂取の目安として、一日にコップ7〜8杯ほどを小まめに取ると良いでしょう。過剰な摂取は、水中毒のリスクもあるため、ほどほどに取り入れてみてください。
また、起床後にコップ一杯の冷水や牛乳を飲むと腸が刺激されるため、便秘解消に効果的です。起床後の牛乳をいつもの習慣にするのもおすすめです。
生活リズムを整える
抗がん剤治療中の方向けの自分でできる便秘への対処法3つ目は、生活リズムを整えることです。腸の働きを正常に保ち、便秘を改善するためにも、生活リズムを整えることを推奨します。便意を我慢せずに、トイレに行く習慣を付けることが大切です。
また、3食を決まった時間に食べることも重要ですので、ぜひ意識してみてください。
腸を刺激する
抗がん剤治療中の方向けの自分でできる便秘への対処法4つ目は、腸を刺激することです。
生活の中で、腸を刺激することを意識してみてください。具体的な方法は以下の通りです。
- できる範囲で体を動かす
- 腹部を温める
- マッサージをする
など。
治療における主な対処方法
抗がん剤治療中の方向けに治療内容に関する便秘への対処法について紹介します。
症状を軽減する薬を使用する
治療における主な対処方法1つ目は、症状を軽減する薬を使用することです。
医師の診察を受け、症状を相談し、下剤や便秘薬を処方してもらい、服用しましょう。下剤や便秘薬には、飲み薬や坐薬、浣腸タイプがあります。
便秘薬の主な種類を紹介します。
- 腸の動きを強める薬
- 便の水分を保つ薬
- 腸液の分泌を促す薬
- 医療用麻薬による便秘に対して使う薬
薬の種類や量は状況に応じて担当医や薬剤師、看護師と相談しながら調整していきましょう。
治療方法を変更する
治療における主な対処方法2つ目は、治療方法を変更することです。
抗がん剤治療以外の治療を検討したり、便秘の副作用が出にくい薬物治療に切り替えるという方法もあります。治療方法の変更を希望する場合には、医師の診察を受けて症状を相談することが重要です。一般的な抗がん剤治療では主な副作用に便秘が含まれますが、分子標的薬やがん免疫治療薬(免疫療法に使用する薬)には含まれません。
分子標的薬とは、がん細胞の増殖に関わるタンパク質などを標的としてがんを攻撃する薬剤です。栄養を運ぶ血管やがんを攻撃する免疫に関わるタンパク質などを標的にします。分子標的薬には「小分子化合物」と「抗体薬」の2つの種類があります。
分子標的薬の主な副作用は以下の通りです。
- 出血
- 高血圧
- タンパク尿
- 手足のしびれ
- 筋肉の痛み
- 疲労、倦怠感
- 食欲不
- 吐き気
- 口内炎
- 脱毛
など。
がん免疫治療薬には、免疫チェックポイント阻害薬があります。
免疫チェックポイント阻害薬は、免疫ががん細胞を攻撃する力を保つための薬剤です。免疫チェックポイント阻害薬を活用することで、T細胞やがん細胞のアンテナに作用して、免疫にブレーキがかかるのを防ぐことができます。免疫チェックポイント阻害薬の副作用として、下痢があります。下痢により水分の排泄が促進されるため、十分な水分摂取を心掛けることが大切です。保険診療で受けることができる免疫チェックポイント阻害薬は限られていますので、注意してください。
免疫チェックポイント阻害薬を用いて治療が行えるがんは、以下の通り。
- メラノーマ(悪性黒色腫)
- 非小細胞肺がん
- 腎細胞がん
- ホジキンリンパ腫
- 頭頸部がん
- 胃がん
- 悪性胸膜中皮腫
など。
(参考:がん情報サービス 免疫療法 もっと詳しく)
今回は、抗がん剤による便秘について解説しました。
自分でできる対処方法としては、食物繊維や脂肪を取る方法・水分を小まめに取ること・生活リズムを整えること・腸を刺激する方法があります。まずは簡単に取り入れられそうな方法から試し、自分に合う排便コントロール方法を見つけましょう。
また、辛い症状や今までとは違う副作用については、早急に医師や看護師に相談してください。
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