がん免疫療法コラム

肝臓がんの痛みはどのように現れる? 痛む部位や原因、治療法について解説

がんは発生部位や進行度によってさまざまな症状が表れます。がんの代表的な症状に、がん性疼痛があります。

これは疾患によって生じる痛みのことで、痛む部位や原因はさまざまです。

今回は、肝臓がんになり痛みに悩んでいる方や、さまざまな治療を行ったが体調は悪化するばかりだと感じている方に向けて、情報をまとめました。

ぜひ参考にご覧ください。

肝臓がんとは?


まず、肝臓がんの概要を解説します。

肝臓は、肋骨に守られるようにして存在する臓器です。人編の体の中で最大の臓器で、さまざまな物質を化学的に作り変える働きを持っています。蛋白の合成や栄養の貯蔵、有害物質の解毒、胆汁の合成などが主な働きです。

肝臓がんは肝細胞がん、肝内胆管がんなどに分類されます。慢性的な肝臓の炎症によって起こると言われています。

2019年のがん罹患数の順位は、肝臓がんが男性で5位となっています。2022年のがん死亡数の順位は、肝臓がんが男女計で5位、男性でも5位となっています。

(参考:がん情報サービス 最新がん統計

原発性肝臓がん

続いては、原発性肝臓がんについて説明します。

肝臓の細胞そのものから発生したがんを、原発性肝臓がんと呼びます。肝細胞がんは原発性肝臓がんに当たり、一般的に肝臓がん=肝細胞がんという認識です。

転移性肝がん

次に、転移性肝臓がんについて説明します。

肝臓以外の臓器に発生したがんが肝臓に転移したがんを、転移性肝臓がんと呼びます。ほぼ全てのがんで起きる可能性があります。

【進行度別】肝臓がんの痛みとその他の症状


続いては、肝臓がんの痛みとその他の症状について解説します。

肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、肝臓がんの進行度合いによって痛みや症状の有無が変わります。進行度ごとに情報をまとめました。

初期の肝臓がんの場合

肝臓がんは初期には自覚症状がないケースがほとんどです。そのため発見が遅れてしまうケースもあるため、注意が必要です。

肝臓がんが進行した場合

肝臓がんが少し進行すると、痛みをはじめとしたさまざまな症状が出ることがあります。肝臓がんが進行した場合の症状は、以下の通りです。

  • 腹部のしこり
  • お腹の張り
  • 痛み
  • 全身の倦怠感
  • 疲れやすさ
  • 食欲不振

など。

肝臓がんが進行しステージ4になると、以下に挙げるような症状が表れます。

  • 黄疸や倦怠感
  • 腹水
  • 体重減少
  • むくみ
  • かゆみ
  • 下痢
  • 腹痛

など。

肝性脳症が起き、認知症のような症状が出ることもあります。また、突然昏睡状態に陥り亡くなってしまう場合もあるため、体調に異変を感じたら早めに医療機関を受診しましょう。

肝臓がんによる痛みが現れる部位


続いては、肝臓がんによる痛みが現れる部位について紹介します。

肝臓がんの痛みは、鈍痛や圧迫感のような痛みで、肝臓がんの大きさや位置、周囲の組織への影響によって異なりますが、主に右上腹部に現れることが多いです。休息をとることで和らぐ場合もあります。

さらに、痛みが背中や右肩に放散することもあります。

肝臓がんの痛みの主な原因


肝臓がんの痛みの主な原因を見ていきましょう。

肝臓がんの痛みは、主に3つの原因が考えられます。肝臓がんの成長、肝臓の拡張、肝臓がん周辺の炎症について、次章以降で解説します。

肝臓がんの成長

肝臓がんの痛みの主な原因の1つ目は、肝臓がんの成長です。

肝臓がんが大きくなると周辺組織や神経を圧迫するため、痛みも強く・持続的になります。肝臓が神経や血管に近づくことも、痛みの原因です。

肝臓の拡張

肝臓がんの痛みの主な原因2つ目は、肝臓の拡張です。

肝臓がんが進行すると肝臓の被膜が伸びて、痛みが生じます。被膜には豊富な感覚神経があるため、痛みを感じやすいと言われています。

肝臓がん周辺の炎症

肝臓がんの痛みの主な原因3つ目は、肝臓がん周辺の炎症です。

肝臓がんの周囲に炎症が発生すると痛みが生じます。腫瘍が成長して炎症を起こすことがあり、薬の影響でも炎症が起こることがあります。発熱や倦怠感を伴う場合には炎症が疑わしいため、医師や看護師に相談しましょう。

肝臓がんの治療法


続いては、肝臓がんの治療法を紹介します。

肝臓がんの痛みを改善したいときに検討すべき治療法をいくつか紹介します。

手術療法

肝臓がんの治療法1つ目は、手術療法です。

手術の種類は、肝移植と肝切除があります。肝移植は、肝臓をすべて取り除き、肝臓を移植する手術です。ドナーによる臓器提供が必要となります。生体肝移植あるいは、脳死肝移植が検討されます。肝細胞がんに対する肝移植には、さまざまな基準があり、遠隔転移や脈管への広がりがある場合には適応できません。

肝切除は、がんとその周辺の組織を手術によって取り除く手術です。

がんの大きさには特に制限がありませんが、がんが肝臓内にとどまっている必要があります。がんが脈管に広がってしまっていても肝切除が検討されるケースがあります。腹腔鏡下での肝切除が可能な場合もあり、侵襲を小さくできます。

ですが、完全に確立された方法ではないためリスクも伴います。

手術療法は基本的にステージ1〜3に受けることが多いです。

また、肝臓がんの手術療法の合併症は以下の通りです。

  • 胆汁漏
  • 出血
  • 肝不全

など。

穿刺局所療法

肝臓がんの治療法2つ目は、穿刺局所療法です。

穿刺局所療法は、腹部の皮膚の上から針をがんに直接穿刺します。局所的な治療法で、手術よりも侵襲が少ないという特徴があります。がんの大きさが3cm以下、かつ3個以下の場合に行われます。

穿刺局所療法の一つであるラジオ波焼灼療法(RFA)は、通電して針の先端部分に高熱を発生させて行います。がんを焼いて死滅させることを目的としています。

穿刺局所療法の主な合併症は、以下の通りです。

  • 発熱
  • 腹痛
  • 腸管損傷
  • 肝機能障害
  • 出血
  • 健康な組織を焼いてしまう

など。

塞栓療法

肝臓がんの治療法3つ目は、塞栓療法です。

塞栓療法とは、X線を使用し鼠径部や肘などの動脈から肝動脈までカテーテルを入れて行う治療です。がんの近くまでカテーテルを進めて治療します。

塞栓療法には、肝動脈化学塞栓療法(TACE)、肝動脈塞栓療法(TAE)、細胞障害性抗がん薬を注入する肝動注化学療法(TAI)があります。肝臓がんの腫瘍ががんが4つ以上ある場合、塞栓療法が選択されるケースが多いです。3cm以上の大きながんでもこの治療法の対象となります。

塞栓療法の主な副作用は、以下の通りです。

  • 発熱
  • 吐き気
  • 腹痛
  • 食欲不振
  • 肝機能障害
  • 胸痛

など。

放射線治療

肝臓がんの治療法4つ目は、放射線治療です。

肝臓がんの放射線治療は、まだ標準治療としては確立していませんが、採用されることがあります。骨に転移したときの痛みの緩和や、脳への転移に対する治療などを目的として選択されることがあります。

薬物療法

肝臓がんの治療法5つ目は、薬物療法です。

肝細胞がんの全身薬物療法は、分子標的薬による治療(分子標的治療)や免疫チェックポイント阻害薬による治療が標準治療として選択されます。分子標的治療は、免疫ががん細胞を攻撃する力を保つ薬です。自己免疫性疾患などのため免疫チェックポイント阻害薬が使えない場合に、分子標的薬を用います。

免疫チェックポイント阻害薬による治療は、がん細胞の働きによって、ブレーキがかかった免疫の攻撃力を回復させる効果が期待できます。治療効果や安全性が証明されているため、比較的安全性の高い治療法だと言えます。他の治療法を受けられない進行性の肝細胞がんで薬物療法が選択されるケースが多いです。

薬物療法の主な副作用を紹介します。

  • 手足皮膚反応
  • 高血圧
  • 創傷治癒遅延
  • 下痢
  • 疲労感
  • アレルギー
  • 大腸炎
  • 空咳
  • 皮膚炎
  • 口渇
  • 甲状腺機能や腎機能の障害
  • 下痢
  • 白斑
  • 皮疹
  • 倦怠感

など。

免疫療法

肝臓がんの治療法6つ目は、免疫療法です。

免疫細胞療法の概要や特徴について紹介します。免疫細胞療法は、他の治療法と組み合わせて受けられます。再発・転移予防にも効果的で、重篤な副作用は少ないことが知られています。軽い発熱、発疹などが出る可能性はありますが、軽度なものですので過度な心配は必要ありません。免疫細胞療法と一口にいっても、さまざまな治療法があります。

ここではいくつかの免疫細胞療法をピックアップして、概要を紹介します。

樹状細胞ワクチン療法 樹状細胞ワクチン療法は、樹状細胞の働きを活かした免疫治療として知られています。患者さんのがん組織や、人工的に作ったがん抗原を用いて治療を行います。
アルファ・ベータT細胞療法 アルファ・ベータT細胞は2週間の培養で、200万個ほどの細胞が80億個ほどに増えますので、血液中のリンパ球の数や機能が低下している場合にも治療が可能となります。自身の血液を採取し、T細胞を大幅に増殖させて活性化した後に体内へ戻します。がん細胞は、自らを守るバリアとして免疫の働きを抑制させてしまう作用がありますが、アルファ・ベータT細胞療法では、その免疫抑制作用を解除することが可能です。
NK細胞療法 NK細胞はリンパ球の10〜30%程度を占める成分です。出会ったことのない異常細胞を発見し次第、単独で攻撃してくれます。T細胞やB細胞などの他の免疫細胞は抗原抗体反応があるため、過去に異常細胞と認識したものしか攻撃しませんが、NK細胞は自由に攻撃可能です。NK細胞療法は、拒絶反応やアレルギー反応など重篤な副作用が起きる可能性が低いのが特徴です。
6種複合免疫療法 6種複合免疫療法は、それぞれ役割が異なる6種類の免疫細胞を増殖・活性化させ、がんを治療する方法です。6種複合免疫療法では、NK細胞、樹状細胞、ヘルパーT細胞、キラーT細胞、NKT細胞、ガンマ・デルタT細胞といった6つの細胞にアプローチします。

痛みが強い場合は緩和ケアという手段も


痛みが強い場合は緩和ケアという手段もあります。末期の肝臓がんに限った話ではなく、がんと診断されたときから緩和ケアを受けるのよいとされています。

診断後はいつでも緩和ケアを受けられますので、痛みをはじめとした身体的な辛さや治療法の合併症・副作用、精神的な辛さ、不安などについて積極的に相談してみてください。

6種複合免疫療法

まとめ


今回は、肝臓がんの痛みはどのように現れるのかを解説しました。

肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、初期には自覚症状がありません。少し進行すると、腹部のしこりやお腹の張り、痛み、全身の倦怠感、疲れやすさ、食欲不振などが表れます。肝臓がんの治療法としては、手術療法や穿刺局所療法、塞栓療法が知られています。

福岡同仁クリニックは、がん免疫療法専門の再生医療クリニックとして、6種複合免疫療法を提供しています。これまで多くの患者さんのがん治療を行い、患者さん一人ひとりに合わせた治療法をご提案しています。

6種複合免疫療法についてさらに詳しく知りたい方はこちらよりご確認ください。

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