がん免疫療法コラム

肝臓がんの末期症状や治療法とは? 痛みや辛さを緩和するための方法についても解説

がんは種類やステージによって、さまざまな症状が表れます。今回は、肝臓がんの末期症状や治療法をまとめました。

肝臓がん患者さんやがん患者さんの親族に向けて、痛みや辛さを緩和するための方法を紹介します。

本記事を読むと

  • 肝臓がんとは
  • 肝臓がんの末期症状
  • 肝臓がんのステージ
  • 肝臓がんのステージ別5年生存率
  • 末期の肝臓がんの治療法

 

が分かります。ぜひ参考にご覧ください。

肝臓がんとは?


肝臓がんとはどのようながんなのでしょうか。肝臓がんは肝細胞がん、肝内胆管がんなどに分類されます。

その中でもなりやすいのが肝細胞がんです。肝がんは日本で5番目に死亡数が多いがんだと言われています。

(参考:がん情報サービス 最新がん統計

肝臓がんの末期症状


肝臓がんの主な症状について紹介します。

肝臓がんは初期には自覚症状がないケースがほとんどです。少し進行すると、以下に挙げるような症状が出ることがあります。

  • 腹部のしこりやお腹の張り
  • 痛み
  • 全身の倦怠感
  • 疲れやすさ
  • 食欲不振

など。

末期(ステージ4)になると、以下に挙げるような症状が表れます。

  • 黄疸や倦怠感
  • 腹水
  • 体重減少
  • むくみ
  • かゆみ
  • 下痢
  • 腹痛

など。

肝性脳症が起き、認知症のような症状が出ることもあります。また、突然昏睡状態に陥り、亡くなってしまう場合もあるので慎重な対処が求められます。

肝臓がんは末期になるまで気付かないケースも多い

肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、前述した通りがんがあっても初期には自覚症状がほとんどありません。がん検診や他の病気の検査のタイミングで、がんが発覚するケースも多いそうです。発覚したときには既に末期がんだったとういうケースもあるため、定期的に検診を受けることが大切です。

肝臓がんのステージ


続いては、肝臓がんのステージを解説します。

肝臓がんのステージ(病期)は、大きく4つのステージに分けられます。肝臓がんのステージは、主に以下の要素で決められます。

  • がんの腫瘍が1つかどうか
  • がんの腫瘍が直径2cm以下であるか
  • 血管侵襲(がんが血管の中に入り込んでいる状態)がない

 

それぞれのステージの条件は以下の通りです。

  • Ⅰ期(ステージ1):上記要素の全てに当てはまる
  • Ⅱ期(ステージ2):上記要素の2つに当てはまる
  • Ⅲ期(ステージ3):上記要素の1つに当てはまる
  • Ⅳ期(ステージ4):上記要素の全てに当てはまらない

 

またリンパ節への転移があるもの、遠隔転移があるものについてはステージ4となります。ステージ4のがんのことを末期がんと呼ぶことが一般的です。

肝臓がんのステージ別5年生存率


肝臓がんの5年生存率について、ステージ別に紹介します。

そもそも、がん治療における5年生存率は「手術5年後に生存しているかどうか」の指標であり、完治しているかどうかを評価する指標ではありません。治療から5年を経過して生存していたとしても再発している可能性はあるものの、一つの目安として確認できるでしょう。

  • ステージ1:63.0%
  • ステージ2:45.2%
  • ステージ3:16.0%
  • ステージ4:4.4%

(参考:がん情報サービス 院内がん登録生存率集計結果閲覧システム

末期の肝臓がんの治療法


末期の肝臓がんの主な治療法について次章以降で詳しく紹介します。

治療法については、肝臓がんのステージや治療を受ける方の希望、年齢、体調などを加味して、医師と相談して決めます。がんの治療が妊娠や出産に影響する恐れがあるため、将来子どもをもちたいと考えている場合は、事前に医師に相談することを推奨します。

手術療法(肝切除)

末期の肝臓がんの治療法1つ目は、手術療法(肝切除)です。がんと周囲の肝臓組織を手術によって取り除く治療法です。

手術療法は基本的にステージ1〜3に受けることが多いが、ステージ4でも条件によっては切除を選択するケースもあります。がんの場所や数によっては、腹腔鏡下手術が可能な場合もあります。

また、腹水がある場合には肝不全のリスクが高まるため、通常は肝切除以外の治療を行います。

手術療法の主な合併症

続いては、手術療法の主な合併症について紹介します。

胆汁漏 肝臓の切除面から胆汁が漏れてしまいます。ドレーンを付けたままにすることで症状が軽くなります。まれに再手術を検討することもあります。
出血 輸血と再手術による止血が必要です。
肝不全 肝不全は重大な合併症です。手術を考える時点で肝臓の機能に応じて十分な肝臓の量を残すようにする必要があります。

塞栓療法

末期の肝臓がんの治療法2つ目は、塞栓療法です。肝臓がんの塞栓療法は、X線を使って鼠径部や肘、手首の動脈から肝動脈まで入れたカテーテルをがんの近くまで進めて行う治療です。塞栓療法には、肝動脈化学塞栓療法(TACE)と肝動脈塞栓療法(TAE)、細胞障害性抗がん薬を注入する肝動注化学療法(TAI)があります。肝臓がんの腫瘍が4つ以上ある場合、塞栓療法が選択されるケースが多いと言われています。3cm以上の大きながんでも塞栓療法の対象となります。治療後は、数時間から半日程度の安静が必要です。

塞栓療法の主な副作用

塞栓療法の主な副作用について紹介します。

  • 発熱
  • 吐き気
  • 腹痛
  • 食欲不振
  • 肝機能障害
  • 胸痛

など。

副作用の程度は、がんの大きさや広がり、塞栓した範囲などによりさまざまです。

薬物療法

末期の肝臓がんの治療法3つ目は、薬物療法です。

肝切除や肝移植、穿刺局所療法、肝動脈化学塞栓療法などが行えない進行性の肝細胞がんで、パフォーマンスステータスが良好、かつ肝予備能が保たれている場合に、全身薬物療法が検討されます。薬剤ごとにさまざまな副作用があるため、使用には注意が必要です。

分子標的薬による治療(分子標的治療)や免疫チェックポイント阻害薬による治療が標準治療です。分子標的薬による治療(分子標的治療)は、がん細胞に特徴的な分子を目印にしてがんを攻撃する薬です。自己免疫性疾患などのため免疫チェックポイント阻害薬が使えない場合に、分子標的薬を用います。

免疫チェックポイント阻害薬による治療は、がん細胞の働きによって、ブレーキがかかった免疫の攻撃力を回復させる治療法です。免疫チェックポイント阻害療法は、大規模な臨床試験などにより、治療効果や安全性が証明されています。他の治療法を受けられない進行性の肝細胞がんで選択されるケースが多いと言われています。

薬物療法の主な副作用

次に、薬物療法の主な副作用を紹介します。

免疫チェックポイント阻害薬や分子標的薬は、薬ごとにさまざまな副作用が生じます。分子標的薬の副作用は、

  • 手足皮膚反応
  • 高血圧
  • 創傷治癒遅延
  • 下痢
  • 疲労感
  • アレルギー

など。

免疫チェックポイント阻害薬の副作用は、

  • 大腸炎
  • 空咳
  • 皮膚炎
  • 口渇
  • 甲状腺機能や腎機能の障害
  • 下痢
  • 白斑
  • 皮疹
  • 倦怠感

など。

自覚症状がある場合には、我慢せず医師や看護師に相談しましょう。適切な対処を行いながら治療を進めることが大切です。

その他に検討できる肝臓がんの治療法


その他にも検討できる肝臓がんの治療法や痛みの緩和方法などをいくつか紹介します。

免疫細胞療法

肝臓がんの治療法として、免疫細胞療法もあります。免疫療法とは、元々体に備わっている免疫力を向上させて、がんを攻撃する治療方法のことを言います。重篤な副作用は少ない傾向にあります。

ただし、軽い発熱、発疹などが出る可能性はあります。全身に効果が及ぶので、切除が困難な腫瘍や検査で発見されていない腫瘍にも効果が期待できます。

さらに、他の治療法と組み合わせて受けられ、手術後の再発・転移予防にも有効だとされています。

免疫細胞療法と一口にいっても、さまざまな治療法があります。ここではいくつかの免疫細胞療法をピックアップして、概要を紹介します。

樹状細胞ワクチン療法 樹状細胞ワクチン療法は、樹状細胞の働きを活かした免疫治療として知られています。患者さんのがん組織や、人工的に作ったがん抗原を用いて治療を行います。ただし樹状細胞ワクチンを使うがんワクチン療法は、効果が証明されていない免疫療法です。保険診療で受けることができませんので注意が必要です。
アルファ・ベータT細胞療法 アルファ・ベータT細胞は比較的増殖しやすい細胞として知られています。2週間の培養で、200万個ほどの細胞が80億個ほどに増えますので、血液中のリンパ球の数や機能が低下している場合にも治療が可能となります。アルファ・ベータT細胞療法は活性化リンパ球療法のひとつであり、自身の血液を採取し、T細胞を大幅に増殖させて活性化した後に体内へ戻します。がん細胞は、自らを守るバリアとして免疫の働きを抑制させてしまう作用がありますが、アルファ・ベータT細胞療法では、その免疫抑制作用を解除することが可能です。多くの機関で長年行われている治療法で、免疫治療の効果を上げる働きがあることが解明されています。
NK細胞療法 NK細胞とはナチュラルキラー細胞と呼ばれることもあり、「生まれながらの殺し屋」という意味になります。NK細胞はリンパ球の10〜30%程度を占める成分で、がん細胞など出会ったことのない異常細胞を発見すると、単独で攻撃してくれます。NK細胞と他の免疫細胞との違いは、抗原抗体反応がないという点です。T細胞やB細胞などの他の免疫細胞は抗原抗体反応があるため、過去に異常細胞と認識したものしか攻撃しませんが、NK細胞は自由に攻撃可能です。NK細胞療法は、拒絶反応やアレルギー反応など重篤な副作用が起きる可能性が低いのが特徴です。また、がん細胞を破壊する能力の高いNK細胞を使用するため、比較的短期間で効果が出やすいと言われています。
6種複合免疫療法 6種複合免疫療法は、それぞれ役割が異なる6種類の免疫細胞を増殖・活性化させ、がんを治療する方法です。6種複合免疫療法では、NK細胞、樹状細胞、ヘルパーT細胞、キラーT細胞、NKT細胞、ガンマ・デルタT細胞といった6つの細胞にアプローチします。体の中にある免疫細胞を使った療法であり、重篤な副作用が起きる可能性が低いという特徴があります。1回の治療時間が20から30分と短く、入院の必要もないため体への負担も少ない治療法です。

放射線療法

肝臓がんの治療法として、放射線療法もありますが、まだ標準治療としては確立していません。骨に転移したときの痛みの緩和や、脳への転移に対する治療などを目的として選択されることがあります。

緩和ケア

肝臓がんの治療法として、緩和ケアもあります。緩和ケアとは、がんによる心身のさまざまなつらさを和らげる取り組みのことです。末期がんの身体的な辛さ、治療法の合併症・副作用、精神的な辛さ、不安などについて積極的に相談できます。

緩和ケアは、進行していないうちから始めるものです。末期の肝臓がんだけでなく、がんと診断されたときから緩和ケアを受けるのもよいでしょう。自身がつらいときはいつでも受けられるので、タイミングは自身で選択できます。

6種複合免疫療法

まとめ

今回は、肝臓がんの末期症状や治療法について紹介しました。

肝臓がんは初期には自覚症状がないケースがほとんどです。悪化を防ぐためにも、定期的に検診を受けることが大切です。痛みや辛さを緩和するための方法として、一般的な治療法以外に、緩和ケアや免疫療法を推奨します。

福岡同仁クリニックは、がん免疫療法専門の再生医療クリニックとして、6種複合免疫療法を提供しています。これまで多くの患者さんのがん治療を行い、患者さん一人ひとりに合わせた治療法をご提案しています。

6種複合免疫療法についてさらに詳しく知りたい方はこちらよりご確認ください。

お問い合わせ・資料請求はこちら

この情報をシェアする

よく読まれている記事