がん免疫療法コラム

花咲乳がんとは? 主な症状やケア方法、治療法について解説

みなさんは「花咲乳がん」という名称をご存じですか?がんの症状によって名前が付けられており、通称としてこの表現が用いられています。

今回は乳がん患者さんや親族の方に向けて、「花咲乳がん」に関する情報をまとめました。主な症状やケア方法、治療法について解説しますので、ぜひ参考にご覧ください。

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花咲き乳がんとは?


まずは花咲き乳がんとは、どのような乳がんのことなのか概要を紹介します。

「花咲き乳がん」という表現は正式なものではありません。乳がんの進行により、乳がんのがん細胞が乳腺内にとどまらずに、皮膚を突き破り肌表面に露出している状態のことをいいます。

花咲き乳がんの正式名はがん性皮膚創傷・がん性皮膚潰瘍です。がん性皮膚創傷とは、がん組織が体表面に現れた状態のことです。がん性皮膚潰瘍とは、潰瘍部分の傷が深くえぐれたようになる状態のことです。皮膚浸潤と呼ばれることもあります。

花咲き乳がんでは、通常時と見た目も変わってしまうため、精神的にも辛くなる方が多い傾向にあります。がんを放置していたりがんが再発して、がん細胞が皮膚を食い破りむき出しの状態となる場合もあります。花咲き乳がんは、がんの治療後2年目か3年目に出てくるケースや、治療から10年以上たって出てくるケースもあります。

花咲き乳がんの主な症状


次に、花咲き乳がんの主な症状を解説します。花咲き乳がんでは、痛みや出血、浸出液などが生じます。

さらに症状が進行すると潰瘍部分が細菌に感染し腐敗臭のような臭いを伴うことがあります。乳房の見た目も、健康なときとは全く異なってしまうため、精神的な辛さもあります。

花咲き乳がんの進行過程

続いては、花咲き乳がんの進行過程を紹介します。最初は皮膚が赤やピンク色になったり炎症が起きたりするのみですが、そのままにしていると、体の表面に腫瘤ができ腫瘤が壊れて潰瘍を形成します。

さらに進行すると、滲出液が分泌されたり、出血や痛みや悪臭が生じたりすることもあります。患部がカリフラワーのように大きくなったり、陥没が起こったりすることもあり、注意が必要です。

花咲き乳がんとステージ(病期)の関係


続いては、花咲き乳がんとステージ(病期)の関係を解説します。

乳がんの病期(ステージ)を見ていきましょう。

がんの大きさ リンパ節転移 遠隔転移
0期 非浸潤がん なし なし
Ⅰ期 2cm以下 なし なし
ⅡA期 2cm以下 腋窩リンパ節に転移。そのリンパ節は固定されておらず動く。 なし
2cm~5cm以下 なし なし
ⅡB期 2cm~5cm以下 腋窩リンパ節に転移。そのリンパ節は固定されておらず動く。 なし
5cm~ なし なし
ⅢA期 5cm以下 腋窩リンパ節に転移。そのリンパ節は固定されて動かない。あるいは、リンパ節が互いに癒着している。または、腋窩リンパ節に転移はないが内胸リンパ節に転移がある。 なし
5cm~ 腋窩リンパ節か内胸リンパ節に転移がある。 なし
ⅢB期 がんの大きさやリンパ節転移の有無に関わらず、がんが胸壁に固定されている。または、がんが皮膚に出たり皮膚が崩れたりむくんでいる。しこりがない炎症性乳がんも、このⅢB期から含まれる。 なし
ⅢC期 がんの大きさに関わらず、腋窩リンパ節と内胸リンパ節の両方に転移がある。または、鎖骨の上もしくは下のリンパ節に転移がある。 なし
Ⅳ期 がんの大きさやリンパ節転移の有無に関わらず、骨、肝臓、肺、脳など他の臓器への遠隔転移がある。 あり

病期ⅢAから病期ⅢCにあたる、局所の進行が著しい状態のことを「局所進行乳がん」と呼びます。局所進行乳がんの一つとして花咲き乳がんと呼ばれるがんも含まれます。

花咲き乳がんは治せる?


花咲き乳がんは進行がんであり、完治可能なケースもありますが、多くの場合は難しいです。数十年前は花咲きがんは治りにくいがんとされていました。

ですが、今では治療を続けることによってがんの進行を抑え、症状を緩和させられます。

花咲き乳がんのケア方法


続いては、花咲き乳がんのケア方法を紹介します。

花咲き乳がんが進行すると、痛みや臭いに悩まされるケースが多くなります。痛みや臭いを緩和するためのケア方法をいくつかピックアップして次章で紹介します。

薬を使用

花咲き乳がんのケア方法1つ目は、薬を使用することです。

痛みが強い場合や患部を処置する際には、鎮痛剤を処方してもらい使用しましょう。臭いの軽減効果の高い薬も開発されています。

洗浄・除菌を徹底

花咲き乳がんのケア方法2つ目は、洗浄・除菌を徹底することです。洗浄・除菌を徹底することで、痛みや臭いの対策が可能です。体への負担に配慮して、ケアの際には温水のシャワーを用いて痛みをなるべく少なくすることをおすすめします。

また、水道水よりも刺激が少ない生理食塩水を使用する方法もあります。その後、抗菌薬を塗布するとより効果的です。

出血や浸出液の防止

花咲き乳がんのケア方法3つ目は、出血や浸出液の防止です。浸出液による悪臭を抑えるために、場合によっては軟膏を塗布します。

しかし軟膏の使用によって炎症を起こす場合もあるので、痛みが強くなる場合には、医師と相談し使用を控えるケースもあります。患部の上に皮膜材や吸収パッドをあてる場合は、消臭効果のあるシートも併せて巻き、最後にパウチを貼って浸出液が漏れるのを防ぎます。

花咲き乳がんの治療法


花咲き乳がんの主な治療法を次章で紹介します。

治療法は、患者の希望や生活環境、年齢を含めた体の状態、がんの進行状態などを見ながら適した治療法を医師と決めていくことが重要です。がんの治療が、妊娠や出産に影響する可能性もあるので、子どもを持つことを希望している場合には事前に医師に相談することを推奨します。

薬物療法

花咲き乳がんの治療法1つ目は、薬物療法です。

花咲き乳がんの場合、乳房とは離れた臓器にもがんが転移していることが多く、病巣を取り除く手術は行われないことが多いです。そのため薬物療法である内分泌治療や抗がん剤治療が選択されるケースが多くあります。

内分泌治療とは、がんの増殖を促進するホルモンの分泌や働きを妨げる薬を用いた治療法です。がんの増殖を抑える効果が期待できます。

抗がん剤治療は、がんの増殖を抑えたり成長を遅らせたり、転移や再発を防いだりする効果が期待できます。初期治療として検討されることが多いです。

手術療法

花咲き乳がんの治療法2つ目は、手術療法です。

再発・転移によってがん細胞が皮膚に出現しているなど、遠隔転移がない場合は、手術療法が選択される場合もあります。その場合は、薬物療法の後にがん細胞の切除を行います。

また一般的なケアだけでは日常生活を送れない場合には、治療目的ではなく生活の質を保つために手術療法が検討されるケースもあります。

放射線療法

花咲き乳がんの治療法3つ目は、放射線療法です。

手術療法の後に、放射線療法が行われるケースもあります。また手術療法と同様に、患者の方の生活の質を保つために放射線療法が行われることもあり、浸出液が多い場合には、放射線を照射し症状を抑えることができます。

その他に検討できる花咲き乳がんの治療法


薬物療法・手術療法・放射線療法の他にも検討できる花咲き乳がんの治療法として、免疫療法(免疫細胞療法)があります。

免疫細胞療法は、がんの種類やステージを問わず受けられる治療です。他の治療法と組み合わせて受けることもできます。再発・転移予防にもつながり、重篤な副作用が少ないことが知られています。ご高齢の方や体力の少ない方でも、安心して受けられます。

免疫細胞療法と一口にいってもさまざまな治療法がありますので、いくつかの免疫細胞療法をピックアップして概要を紹介します。

樹状細胞ワクチン療法 樹状細胞は、がんの目印を最初に体内で認識し、その情報を免疫細胞であるリンパ球に伝える役割を担っています。がん細胞に対する免疫力を最大限に活性化することを目的としたがん免疫療法です。
アルファ・ベータT細胞療法 アルファ・ベータT細胞は比較的増殖しやすい細胞として知られています。2週間の培養で、200万個ほどの細胞が80億個ほどに増えますので、血液中のリンパ球の数や機能が低下している場合にも治療が可能となります。アルファ・ベータT細胞療法は活性化リンパ球療法のひとつであり、自身の血液を採取し、T細胞を大幅に増殖させて活性化した後に体内へ戻します。化学療法や放射線療法の効果を増すことも期待できると考えられています。多くの機関で長年行われており、信頼性が高いという特徴もあります。
NK細胞療法 NK細胞は、がんの殺し屋と呼ばれています。リンパ球のおよそ10〜30%を占める細胞で、NK細胞を活用した治療法がNK細胞療法です。自然免疫と呼ばれるNK細胞が、全身をくまなくパトロールし、がん細胞や悪性化しそうな異常細胞を見つけると、他の細胞の指示を受けることなく独自で攻撃を開始します。分子レベルでがん細胞を見極めて攻撃するため、外科的な除去が難しい浸潤性のがんや発見されにくい微細ながんにも効果が期待できます。
6種複合免疫療法 6種複合免疫療法とは、患者さんの体の中にある免疫細胞を一度体外へ取り出し、活性化・増殖させて体内へ戻して行います。免疫細胞を活性化・増殖させることで、がんと闘う力を増強させます。

 

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まとめ


今回は、花咲乳がんについて紹介しました。

花咲乳がんの主な症状は、痛みや出血、浸出液などが生じることです。身体的な負担が大きく、ボディイメージの変化によって身体的な苦痛も生じます。辛さを抱え込まずに、医師や看護師に相談し適切な対処をしましょう。

花咲乳がんのケア方法には、痛みの軽減や悪臭予防があります。ケアの際には温水のシャワーを用いて痛みをなるべく少なくする方法がおすすめです。

また花咲乳がんの主な治療法としては、薬物療法・手術療法・放射線療法が知られています。

福岡同仁クリニックは、がん免疫療法専門の再生医療クリニックとして、6種複合免疫療法を提供しています。これまで多くの患者さんのがん治療を行い、患者さん一人ひとりに合わせた治療法をご提案しています。

6種複合免疫療法についてさらに詳しく知りたい方はこちらよりご確認ください。

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