がん免疫療法コラム
がんの放射線治療によって下痢になる原因とは? 発現時期や対処法について解説
がんの治療では、さまざまな副作用が出現します。がんの放射線治療によって下痢になることもあります。
今回は、放射線治療中のがん患者さんとがん患者さんの親族に向けて、放射線治療によって下痢の関係について情報をまとめました。発現時期や対処法について解説しますので、ぜひ参考にご覧ください。
INDEX
放射線と下痢の関係
まずは、放射線と下痢の関係について解説します。
冒頭でも紹介した通り、放射線治療の副作用として、下痢になることがあります。具体的には排便の回数が1日3回以上になる他、下痢が続くと肛門周辺に痛みや炎症が生じます。血便が続く場合には、放射線性腸炎の可能性もあるため、注意が必要です。
放射線性腸炎とは放射線治療を受けたことにより生じる腸炎のことで、下痢の他にも吐き気や嘔吐、痛み、貧血などが生じることがあります。
放射線治療によって下痢が続く原因
次に、放射線治療によって下痢が続く原因を紹介します。
放射線治療では、照射した放射線はがん細胞へ作用するだけでなく、正常な細胞も少なからず影響を受けてしまいます。腹部において広範囲・多量に放射線を照射すると腸の粘膜が傷付いてしまい、下痢が起こる可能性があります。放射線性腸炎の場合、治療によって照射される放射線量が一定量(60グレイ)を超えると発症率が上昇するといわれており、注意が必要です。
放射線治療によって下痢になりやすいがん
では、放射線治療によって下痢になりやすいがんはどのようながんでしょうか。
放射線治療の副作用として下痢になりやすいのは、以下のがんです。
腹部への放射線照射が必要な
- 膵臓がん
- 胆道がん
- 肝臓がん
- 腎臓がん
- 結腸がん
- 腹部リンパ節転移
など。
骨盤内への放射線照射が必要な
- 前立腺がん
- 子宮がん
- 膀胱がん
- 直腸、肛門がん
- 精巣腫瘍
などです。
放射線治療の影響で下痢になりやすい時期
続いては、放射線治療の影響で下痢になりやすい時期の目安を紹介します。
放射線治療の影響で下痢になるのは放射線治療を始めて、2〜4週後に起こることが一般的だと言われています。放射線性腸炎の場合、数カ月〜数年以上たってから下痢が生じるケースもあります。
放射線治療によって下痢が続くときの対処法
次に、放射線治療によって下痢が続いている場合の主な対処法を紹介します。
次章以降で、
- 医師の診察を受ける
- 食事に気を付ける
- こまめに水分とカリウムを摂取する
- 肛門周辺を清潔に保つ
- 下痢の状態や食事のメモを取る
- 十分な休息を取る
といった対処法について解説します。
医師の診察を受ける
放射線治療によって下痢が続くときの対処法1つ目は、医師の診察を受けることです。下痢が続いたり良くならなかったりする場合は、すぐに医師に相談することを推奨します。
医師の診察を受ければ、下痢止めや整腸剤を処方してもらうことも可能です。下痢の症状を我慢せずに、医師に相談し適切な対処をしましょう。
食事に気を付ける
放射線治療によって下痢が続くときの対処法2つ目は、食事に気を付けることです。下痢のときは食事に気を付けることが大切です。下痢の際の食事のポイントについて、次章以降で詳しく紹介します。
今回は、
- 温かく消化の良いものを摂取する
- 低脂肪でタンパク質が豊富な食品を摂取する
- 胃腸に負担が掛かりやすい食品は控える
- ゆっくりと少量を食べる
という4つのポイントについて見ていきましょう。
温かく消化の良いものを摂取する
下痢の際の食事のポイント1つ目は、温かく消化の良いものを摂取することです。下痢がある場合には、温かく消化の良いものを摂取することが大切です。おかゆや番茶、スポーツドリンク、うすいハチミツ、重湯、かたくり、リンゴジュース、野菜スープ、みそ汁などがおすすめです。
低脂肪でタンパク質が豊富な食品を摂取する
下痢の際の食事のポイント2つ目は、低脂肪でタンパク質が豊富な食品を摂取することです。食事の際は低脂肪でタンパク質が豊富な食品を摂取することを心掛けましょう。豆腐、鶏肉、はんぺん、白身魚などがおすすめです。
また、ビフィズス菌、乳酸菌などの生きた微生物(プロバイオティクス)を含む食品も、下痢の症状を軽減する可能性があります。
胃腸に負担が掛かりやすい食品は控える
下痢の際の食事のポイント3つ目は、胃腸に負担が掛かりやすい食品は控えることです。
以下のような胃腸に負担が掛かりやすい食品は控えるようにしましょう。
- 冷たいもの
- 繊維の多い野菜や果物
- 豆類
- 卵
- 脂肪の多いもの
- 刺激物(香辛料、炭酸水、コーヒー、アルコールなど)
ゆっくりと少量を食べる
下痢の際の食事のポイント4つ目は、ゆっくりと少量を食べることです。一気に多くの量を急いで食べるのではなく、ゆっくり少量ずつ食べることを心掛けるようにしましょう。お腹の調子や下痢の状態を確認しながら、徐々に食事量や食事の内容を調整することが大切です。
こまめに水分とカリウムを摂取する
放射線治療によって下痢が続くときの対処法3つ目は、こまめに水分とカリウムを摂取することです。
下痢になると、脱水症状になりやすいため注意が必要です。脱水症状によって水分と一緒にカリウムも排出され、全身に脱力感が生じる可能性があります。
こまめに水分とカリウムを摂取することが大切です。下痢の状態の場合の必要な水分量の目安は、1日にコップ8〜10杯程度です。
水やお茶だけでなく、電解質を含んでいるスポーツ飲料や経口補水液などを摂取するのもよいでしょう。スープ、みそ汁、果汁などから水分摂取するのもおすすめです。
飲み物の温度は室温程度のものが推奨され、熱過ぎたり冷た過ぎたりするものは、腸の運動を活発にするため控えるほうが良いでしょう。
肛門周辺を清潔に保つ
放射線治療によって下痢が続くときの対処法4つ目は、肛門周辺を清潔に保つことです。肛門周辺を清潔に保つことも大切なポイントで、トイレの後には温水洗浄便座などを使って汚れをやさしく洗い流し、肛門周辺を清潔に保ちましょう。
ただし洗い過ぎは皮膚のバリア機能を損なってしまう恐れもあるので、ほどほどにすることが重要です。トイレットペーパーを使うときは、やさしく押さえるように拭き取ります。
また、トイレットペーパーに市販の洗浄剤を含ませるのも刺激が緩和されるため、有効です。肛門周辺に炎症が起きたときは医師に相談し、軟膏などの処方をしてもらうようにしましょう。
また、夜間や外出時など便の漏れが心配なときは、軟便専用のパッドを使うこともおすすめです。
下痢の状態や食事のメモを取る
放射線治療によって下痢が続くときの対処法5つ目は、下痢の状態や食事のメモを取ることです。
下痢の状態(色、硬さ、回数など)と食事の内容について、都度メモを取っておくことで、食事を見直したり、医師や看護師に自分の状態を伝えたりしやすくなります。
十分な休息を取る
放射線治療によって下痢が続くときの対処法6つ目は、十分な休息を取ることです。
下痢が続くと体力を消耗するため、いつも以上に十分な休息を取ることを意識することが大切です。お腹を温めながら休むようにしましょう。
まとめ
今回は、がんの放射線治療によって下痢になる原因について解説します。
放射線治療の副作用として、下痢になることがあります。腹部の広範囲に多量な放射線を照射することで、腸の粘膜が傷つき正常な細胞にも影響を及ぼしてしまいます。発現時期は、放射線治療を始めて、2〜4週後に起こることが一般的です。
また主な対処法としては、医師の診察を受けることや食事に気を付けること、こまめに水分とカリウムを摂取することなどがおすすめです。
今回のテーマである放射線治療の他にも、がん治療にはさまざまな方法があります。手術療法、薬物療法、免疫療法などが主な治療法です。それぞれについて概要を簡単に紹介します。
手術療法とは、がんを切除によって取り除く治療法です。がんの転移や浸潤がない場合に検討される治療法で、がんの初期に根治目的として行われることが多いです。
薬物療法は、化学療法のうちのひとつでもあり、抗がん剤によってがん細胞の増殖を防いだり、破壊したりする治療方法として知られています。
免疫療法は、治療を受ける方の体に元々備わっている免疫細胞を利用して、がんを治療する方法です。免疫療法の一つである6種複合免疫療法とは、体の中にある免疫細胞を使った療法です。
治療を受ける方自身の血液を採取し、6つの免疫細胞を抽出、培養させて体内に戻す治療方法ですので、アレルギー反応や拒絶反応などの重篤な副作用が起きにくいという特徴があります。
同仁がん免疫研究所は、6種複合免疫療法を行っている施設です。
同仁がん免疫研究所では、厚生労働省の許可を受けた細胞培養施設にて、極めて高度な安全管理体制のもとで細胞培養の委託を受けています。
同仁がん免疫研究所に関する詳細は、こちらよりご確認ください。
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