がん免疫療法コラム

「癌」ではない悪性腫瘍とは? 悪性腫瘍と良性腫瘍の違いやそれぞれの治療法を解説

私達にとって身近な存在である、がん。

がんと聞くと、悪性腫瘍をイメージする方も多いのではないでしょうか。今回は「癌」ではない悪性腫瘍とはなにか、という疑問についてお答えします。

  • 「がん」と「癌」の違い
  • 悪性腫瘍と良性腫瘍の違い
  • 悪性腫瘍と良性腫瘍の見極め方
  • それぞれの治療法

についても解説しています。がんを患っている方やそのご家族の方は、ぜひ参考にご覧ください。

がん=悪性腫瘍である


そもそも、がん=悪性腫瘍なのでしょうか?

がんは日本人の2人に1人は発症するといわれている病気です。正常な細胞が分裂する際に傷が生じることがあり、それを遺伝子の変異と呼びます。遺伝子の変異によって細胞が無秩序に増えてできたかたまりが「腫瘍」です。

がんは腫瘍の中でも「悪性腫瘍」と呼ばれるものであり、がん=悪性腫瘍という考えが浸透しています。

「がん」と「癌」の違い

がんは、ひらがなの「がん」と漢字の「癌」で書き分けられることがあります。厳密に言うとこの2つには、違いがあります。

悪性腫瘍全体を指す場合、基本的にひらがなの「がん」で示されます。

一方、体の表面や臓器を覆っている細胞(上皮組織)が悪性化した場合、漢字の「癌」で表されます。

ただしひらがなと漢字の表記で区別されないケースもあるため、明確な定義はありません。

「癌」ではない悪性腫瘍とは?


では、「癌」ではない悪性腫瘍は存在するのでしょうか。

基本的に、がん=悪性腫瘍という認識で間違いありませんが、ひらがなで示されるがんの中には上皮組織が悪性化した「癌」の他に悪性腫瘍「肉腫」というものもあります。肉腫はがんの一種ですが、上皮組織が悪性化したものではなく骨や筋肉にできるものです。漢字の「癌」で表されることはほとんどありません。

がん(悪性腫瘍) 上皮組織ががん化したもの・悪性腫瘍「肉腫」(上皮組織が悪性化したものではなく骨や筋肉にできるもの)
上皮組織ががん化したもの

悪性腫瘍と良性腫瘍の違い


続いては、悪性腫瘍と良性腫瘍の違いを紹介します。

悪性腫瘍 良性腫瘍
増殖スピード 一般の細胞より増殖するスピードが比較的速い。規則的ではない増殖をする。 増殖するスピードが比較的遅い。
形状 境界線が不明瞭で形状がギザギザ。不均一に見える。 腫瘍の境界線が滑らか。形は球体などで整っている。
湿潤 まわりの組織や臓器にも入り込み広がっていく。骨にまで浸潤することもある。 湿潤が起こることはほとんどない。
転移 転移を引き起こし全身に影響を与える。 手術で取り除けば転移が起こることはほとんどない。
再発 手術で取り除いても転移や再発する可能性がある。 手術で取り除けば再発が起こることはほとんどない。
全身への影響 悪性腫瘍が急激に増えると、正常な細胞に栄養や酸素が供給されず、腫瘍部分以外にも悪影響が及ぶ。 全身への影響はほとんどない。

表の内容、悪性腫瘍と良性腫瘍の違いに関して、次章以降でより詳しく解説します。

悪性腫瘍

まずは、悪性腫瘍について解説します。

悪性腫瘍は放置していると、全身に広がって体にさまざまな悪影響を及ぼします。一般の細胞よりも増殖するスピードが速く、治療が必要になるケースがほとんどという特徴があります。

また、悪性腫瘍は大きく固形がん、血液のがん(血液や骨髄、リンパ節にできるもの)に分けられます。それぞれの概要や特徴を見ていきましょう。

固形がんは、周囲の細胞や臓器を食い破るように広がる湿潤や、体のさまざまな箇所に飛んで大きくなる転移、かたまりで増殖することなどが特徴です。形はギザギザしており境界線が明確ではありません。

血液のがん(血液や骨髄、リンパ節にできるもの)は、かたまりを作らずに増えるのが特徴です。悪性リンパ腫は例外です。

悪性腫瘍の場合、悪液質によって食欲不振や体重減少の症状が起こります。

悪液質とは、がん等の慢性疾患に伴って生じる、骨格筋量の減少や食欲不振を引き起こす代謝異常症候群です。悪液質は生存率にまで影響するため、注意が必要です。

良性腫瘍

次に、良性腫瘍について解説します。

良性腫瘍は、悪性腫瘍とは違い浸潤や転移することがない腫瘍です。周囲の細胞や組織を押しのけるように、徐々に大きくなります。

腫瘍の形は悪性腫瘍に比べて整っており、境界線も滑らかです。良性腫瘍の中には生涯にわたって症状が出ず、命に関わることがないものもあります。

良性腫瘍の一例を紹介します。

  • 子宮筋腫
  • 脂肪腫
  • 腺腫
  • おでき

などです。

悪性腫瘍と良性腫瘍の見極め方


続いては、悪性腫瘍と良性腫瘍の見極め方を見ていきましょう。

悪性腫瘍か良性腫瘍か見極めるには、必ず医師による診察・検査を受ける必要があります。触診や超音波検査、MRI、CT、X線、血液検査、細胞診などで腫瘍の性質や種類を確認します。

検査を通して、腫瘍の硬さか表面の状態などをチェックします。悪性腫瘍の場合には、早期発見が重要です。異常を感じたら適切に医療機関を受診しましょう。

悪性腫瘍と良性腫瘍の治療法


最後に、悪性腫瘍と良性腫瘍の治療法について解説します。悪性腫瘍と良性腫瘍、それぞれの治療法について次章以降で見ていきましょう。

悪性腫瘍の治療法

まずは、悪性腫瘍の治療法についてです。

悪性腫瘍の治療法として手術療法、薬物療法、放射線療法、免疫療法などの方法があります。がんを切除によって取り除く治療法が、手術療法です。

手術療法は、がんの転移や浸潤がない場合に検討されます。

がんの初期に根治目的として行われることが多く、手術ができない場合や手術による侵襲が大きい場合には、この他の治療法が適応されます。手術療法の前後に、薬物療法が術後の再発予防目的として使用されるケースもあります。

次に、薬物療法について紹介します。

薬物療法とは、化学療法剤、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害剤などの薬物を利用した治療方法です。これらの薬物によって、がん細胞の増殖を防いだり死滅させる効果が期待できます。薬物療法は、転移のあるがん・白血病・リンパ腫の治療に選択されることが多いという特徴があります。

薬物療法と併用して行われることが多い治療法が、放射線療法です。

放射線療法は、放射線をがんに放射することで細胞の遺伝子に損傷を与える治療法です。正常細胞へのダメージが少ない放射線療法が研究されており、比較的負担の少ない治療法として知られています。放射線療法は通院で受けられることもあり、手術が困難な場合の治療や手術後の補助的な治療として選択されることもあります。

免疫療法は、現在第4の治療方法として研究が進められています。

治療を受ける方の体に元々備わっている免疫細胞を利用して、がんを治療する方法で、手術療法・薬物療法・放射線療法の3大治療法で対応できないがんへの効果も期待できます。また、がん細胞の発生箇所や進行度に関係なく治療を受けられるのも特徴の一つです。体への負担が少なく重篤な副作用が起きにくいため、体力が少ない方や高齢者の方も治療が可能です。免疫療法は種類も豊富にあります。

さまざまな治療法を紹介しましたが、腫瘍の種類や進行度、治療を受ける方の希望や体調などによっても適切な治療法は変わります。治療の進め方については、主治医とよく相談しましょう。

良性腫瘍の治療法

次に、良性腫瘍の治療法を紹介します。

良性腫瘍の場合、基本的には手術療法で腫瘍を取り除きます。腫瘍の大きさによって局所麻酔が済むもの、全身麻酔が必要なものなどが変わってきます。切除後はできるだけ変形が生じないように、再建手術を行うケースもあります。

6種複合免疫療法

まとめ


今回は「癌」ではない悪性腫瘍について紹介しました。

「癌」ではない悪性腫瘍は、漢字によって区別されることがあります。上皮組織ががん化したものは、漢字の悪性腫瘍で「癌」と表記されます。ひらがなのがんは、上皮組織ががん化したもの・悪性腫瘍「肉腫」を意味しています。

また、悪性腫瘍と良性腫瘍の違いは、発育や転移、再発、全身への影響など多岐にわたります。中でも悪性腫瘍は発育スピードが早く、早期発見することが予後に大きく影響します。体調に変化を感じたり、腫瘍を発見した際には早めに医療機関を受診しましょう。

同仁がん免疫研究所は、今回紹介した免疫療法の一つである「6種複合免疫療法」を行っている施設です。

同仁がん免疫研究所では、厚生労働省の許可を受けた細胞培養施設にて、極めて高度な安全管理体制のもとで細胞培養の委託を受けています。

細胞培養数は圧倒的で、約3週間で1,000から2,000個の細胞を20から50億個まで培養できます。

同仁がん免疫研究所治療に関する詳細は、こちらよりご確認ください。

監修:福岡同仁クリニック院長

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