がん免疫療法コラム

小児がんの原因とは? 5年生存率や早期発見するためのポイントについて解説

この記事では、0歳から14歳のお子様をお持ちの親御さんや、小児がんを抱えるご家族に向けて、小児がんの原因や、5年生存率、さらには早期に発見するための重要なポイントについてご紹介します。病気の理解を深め、子どもたちが直面する困難に対して、より良く対応する手助けとなる情報を提供することを目指しています。

小児がんとは?


小児がんとは、15歳未満の子どもたちに発症する悪性腫瘍の総称です。この病気には、成人に比べて子どもに特有のものも含まれ、種類も多岐にわたります。代表的なものは白血病ですが、それ以外にも脳腫瘍、悪性リンパ腫、神経芽腫、胚細胞腫瘍など、さまざまながんが小児がんに含まれます。これらは子どもの成長過程で発生することがあり、特に白血病や悪性リンパ腫は小児がんの中でも高い割合を占めています。

しかし、これら以外にも小児特有のがんは存在し、大人には珍しいタイプのものも存在します。治療法や対応は成人のがんとは異なることが多く、専門的な医療が求められます。

15歳未満の子どもの死因


小児がんは、15歳未満の子どもたちの死亡原因として、しばしば上位に挙げられます。全体の死亡原因中でがんによるものは約10%を占め、その割合は決して小さくありません。各年齢層において見ると、死亡原因の順位には違いがあることが認識されていますが、小児がんは幅広い年齢層で重要な健康問題となっているのです。

出典:小児がんの患者数(がん統計)|がん情報サービス

0歳の死因順位

0歳児の死亡原因で最も多いのは先天奇形や染色体異常であり、これに周産期に特異的な呼吸障害など、乳幼児突然死症候群、不慮の事故、胎児及び新生児の出血性障害などが続きます。これらは0歳の赤ちゃんにとって大きなリスクとなっています。がんによる死亡は1%未満と少ないものの、小児期の健康を守るためには、これらのリスクに対する意識と予防が重要です。

1~4歳の死因順位

1歳から4歳の死因で最も多いのは先天奇形と染色体異常です。次いで小児がんがこれに続き、不慮の事故、心疾患、周産期の病態が上位に挙げられます。

5~9歳の死因順位

5歳から9歳の子どもたちにおける死亡原因の1位は小児がんであり、これが約4分の1を占めています。続いて不慮の事故、先天性の奇形、変形および染色体異常が位置し、その他の腫瘍と心疾患が同率で続きます。

10~14歳の死因順位

10歳から14歳の若者における主な死因は自殺が最も多く、これは深刻な社会問題を示しています。次いで小児がん、不慮の事故、そして先天奇形、変形および染色体異常、心疾患が続きます。

小児がんの5年生存率


先ほど触れた通り、小児がんは15歳未満の子どもの死因の上位にありますが、医療技術の進歩により現在では約70~80%の子どもが小児がんからの治癒が可能となっています。これは、小児がんの診断と治療法が飛躍的に向上した結果です。

しかし、完治したと思われた子どもたちの中には、数年後にがんが再発するケースや治療による合併症が後に現れる可能性も残っており、これらは小児がん患者さんとその家族にとって大きな懸念事項となっています。

がんの治療の効果を評価するための基準の一つに、「生存率」があります。これはがんと判断された後、特定の時間が経過した時にまだ生きている患者さんの比率を指します。この比率は基本的にパーセント(%)で表され、「5年生存率」として知られる5年後の数字が、治療の効果を判断する際に多く使われています。

生存率には、すべての死因を問わず死亡した場合を全てカウントする「実測生存率」と、がんによる死亡のみをカウントし、他の原因で亡くなったケースを除外した「相対生存率」という2つの計算方法が存在します。

  がん種  実測生存率(%)  相対生存率(%)
 白血病  87.9  88.0
 リンパ腫  90.6  90.7
 脳腫瘍  74.5  74.6
 神経芽腫  78.5  78.6
 網膜芽腫  95.2  95.4
 腎腫瘍  93.8  93.8
 肝腫瘍  87.0  87.1
 骨腫瘍  70.4  70.5
 軟部腫瘍  79.2  79.3
 胚細胞腫瘍  96.5  96.6

出典:小児がんの患者数(がん統計)|がん情報サービス

これらの数値は小児がん患者さんに対する治療成績の目安となりますが、あくまで平均値であり、個々の患者さんの状態やがんの種類、進行度によって変わってきますので、全ての人に当てはまるわけではありません。

小児がんの原因


小児がんの原因は大人のがんと異なり、主に遺伝的な要因や発育中の細胞の突然変異によるものです。喫煙や食生活、肥満などの生活習慣が直接の原因となることは少ないとされています。特に、網膜芽細胞腫と呼ばれる悪性腫瘍は遺伝的な影響を受けるケースが確認されていますが、これは小児がんの中でも一部に限られます。

小児がんは、血液のがんと固形がんの二つに大別できます。血液のがんでは、最も一般的なのが白血病で、ここでは骨髄内で正常な血液細胞の成長が阻害され、異常な細胞が増殖します。

一方、固形がんでは脳腫瘍や神経芽細胞腫などがあり、これらは体の特定の組織や器官に固形の腫瘍として発生します。これらの原因には、遺伝子の異常や胎児期の細胞分化過程での問題などが考えられていますが、その発症メカニズムはまだ完全には解明されていません。

血液のがんの原因

血液のがんには、白血病やリンパ腫などが含まれ、これらは血液やリンパ系の細胞が異常をきたして無秩序に増殖する疾患です。白血病は、特に小児がんの中で発生頻度が高いものの一つですが、その具体的な発病原因は未だ明確には解明されていません。研究によれば、未熟なリンパ球の染色体や遺伝子に生じる異常が積み重なり、正常な血液細胞の成長が妨げられ、異常細胞が体内に蓄積することで白血病が発生するとされています。

一方、リンパ腫はリンパ系の細胞、特にリンパ球ががん化する病気で、これもまた小児がんの一つです。リンパ腫になる具体的な原因は現在も不明ですが、リンパ球自体の異常や免疫系の機能不全が関連していると考えられています。発生のメカニズムは複雑で、環境要因や遺伝的素因などが絡み合っている可能性があります。

固形がんの原因

固形がんとは、体の特定の組織や臓器にできる塊状の腫瘍を指します。これには脳腫瘍、肉腫、胎児性腫瘍などが含まれ、それぞれに多岐にわたる種類があります。特に小児がんにおいては、これら固形がんが一般的です。

脳腫瘍は小児がんの中でも2番目に多い種類で、多くの異なる型が存在しますが、その多くで具体的な発症原因は明らかになっていません。

しかし、遺伝性疾患である神経線維腫症に関連する脳腫瘍など、遺伝的要因が関与しているものもあります。

胎児性腫瘍は、その名の通り、胎児期に発生する細胞が原因で起こります。これは、胎児期に発達するべき神経や臓器、網膜などの細胞が、本来の発達を終えた後も体内に残り、異常に変化し、無制限に増殖してがん化することで発生すると考えられています。代表的な胎児性腫瘍には、網膜芽腫や腎芽腫などがあり、これらの一部には遺伝的な要因が認められています。例えば、網膜芽腫は遺伝子の変異によって引き起こされることが知られており、親から子へと遺伝するケースもあります。

小児がんを早期発見するためには


小児がんの初期症状は非特異的であり、風邪に似た症状や無症状のケースが多く見られます。しかし、がん細胞は成長が速いため、以下のような症状が見られ、持続する場合には、早急に医療機関を受診することが重要です。

症状の一覧は以下の通りです。

  • 発熱
  • 頭痛
  • リンパ節の腫れ
  • 筋肉のしこり
  • 骨や関節の痛み
  • 胸のしこり
  • お腹のしこり
  • 貧血・顔色が悪い
  • あざができやすい
  • 血が止まりにくい
  • 歩行がおぼつかない、よろける
  • 斜視、視力低下、眼球突出、まぶたの腫れ
  • 瞳が白く見える
  • 発話ができない
  • 異常に⽔分を欲しがる
  • けいれん発作
  • 突然の嘔吐
  • 体重減少

これらの症状は、他の疾患にも見られるため、がんの早期発見には難しさがあります。しかし、これらの症状が特定のパターンを示したり、いくつかの症状が同時に現れたりする場合、また、いずれかの症状が普段と違う、長く続く、あるいは悪化する場合には、早めに医療機関を受診しましょう。

6種複合免疫療法

まとめ


小児がんに対する治療法は、医療の進歩と共に大きく前進しており、正しい治療法を選ぶには、信頼できる医療情報に基づいた意思決定が不可欠です。

しかし、小児がんを治療できる医療機関は限られているため、もし小児がんの治療についての相談が必要であれば、お住まいの地域のがん相談支援センターにご連絡ください。専門の相談員が最適な支援を提供し、適切な医療機関へ案内してくれます。

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