がん免疫療法コラム
がんの再発率・生存率はどのくらい? 日常生活の中で行える再発予防や術後補助療法について解説
本記事では、がんの再発率・生存率をはじめ、日常生活の中で行える再発予防や術後補助療法について解説しています。がんを患っている方やそのご家族が、がんについて理解を深め、治療や再発予防の方法について具体的な知識を得られることを目指しています。
INDEX
がんの再発率
がんは一度治療を終えたからといって、完全に終了するわけではありません。治療が成功したように見えても、目に見えないほど小さながん細胞が体内に残存し、それが再び成長したり、体の別の部位に転移したりすることがあるのです。がんは数年後に再発する可能性のある病気であり、このリスクはがんのステージによって異なります。
がんのステージはⅠ期~Ⅳ期まであり、それぞれがんの進行度を示しています。Ⅰ期はがんが局所的である状態を指し、Ⅱ期は周囲の組織や臓器への進行を意味します。Ⅲ期は近隣のリンパ節への転移を示し、Ⅳ期は遠隔転移が起こっていることを指します。治療の成功と再発率は、このステージに大きく影響します。
例として、大腸がんの再発率を挙げると、ステージⅠの場合は約5.7%、ステージⅡの場合は約15%、そしてステージⅢでは約31.8%の再発率が認められています。全ステージを通じての平均再発率は18.7%です。
これらの数字を見て分かるように、がんのステージが進行するにつれて再発のリスクが増加しています。しかし、比較的初期段階であるステージⅠでも再発する可能性があるのも事実です。
以上のように、がんの再発は非常に複雑な問題であり、一度の治療成功が完治を意味しないことを理解することが重要です。
がんの5年相対生存率
がんの5年相対生存率とは、がんと診断された人が、診断から5年後までに生存している割合を示す指標です。具体的には、がん患者さんの5年後の生存割合を、同じ期間に日本全体の人口で生存している割合と比較して示した数値となります。この数値が0%に近い場合、それは治療によって生存する可能性が低いがんであることを意味します。
さらに、1993年から2011年の間に診断された例をもとにした、がんの種類別の5年相対生存率を、以下の表で紹介します。
がんの種類 | 5年相対生存率 (%) |
肺がん | 34.9 |
胃がん | 66.6 |
大腸がん | 71.4 |
肝がん | 35.8 |
膵がん | 8.5 |
出典:5年相対生存率(1993年~2011年診断例)|がん情報サービス
がんのサバイバー生存率
がんのサバイバー生存率とは、がんの診断を受けてから一定年数後(例:5年後)まだ生存している人々(サバイバー)が、その後どれだけ長く生存するかを示す数値です。この数値はがんの長期生存者の将来の予後を理解する上で重要な指標となります。
以下の表は、がんの種類別に0年サバイバーから5年サバイバーまでの生存率をまとめたものです。
男性
がんの種類 | 0年サバイバー | 1年サバイバー | 2年サバイバー | 3年サバイバー | 4年サバイバー | 5年サバイバー |
口腔・咽頭 | 49.7% | 60.4% | 72.4% | 78.8% | 81.6% | 83.3% |
食道 | 32.2% | 49.1% | 65.3% | 71.3% | 73.5% | 74.7% |
胃 | 63.3% | 79.5% | 88.6% | 93.3% | 95.7% | 96.8% |
結腸 | 70.9% | 80.9% | 86.7% | 91.8% | 94.6% | 97.2% |
直腸 | 65.5% | 72.5% | 78.1% | 84.1% | 89.1% | 92.7% |
肝臓 | 25.3% | 32.3% | 33.7% | 34.6% | 36% | 38% |
胆嚢・胆管 | 21.5% | 42.8% | 61% | 71.6% | 80% | 85.9% |
膵臓 | 5.9% | 19.9% | 41.6% | 58.8% | 71.8% | 78.8% |
肺 | 22.8% | 39.7% | 57% | 68.5% | 76.5% | 79.4% |
皮膚 | 89.7% | 92.1% | 93.8% | 95% | 95.8% | 96.5% |
前立腺 | 87.4% | 85.6% | 85.8% | 86.3% | 88.2% | 89.2% |
腎・尿路(膀胱除く) | 65.5% | 78.5% | 84.8% | 88.8% | 90.1% | 90.5% |
膀胱 | 79.1% | 85.8% | 90.1% | 93.2% | 93.5% | 94.3% |
脳・中枢神経系 | 28.7% | 42.2% | 61.3% | 66.8% | 70.7% | 75% |
甲状腺 | 89% | 96.3% | 97.8% | 97.5% | 97.7% | 97.9% |
悪性リンパ腫 | 49.6% | 68.3% | 78.4% | 82.3% | 84.8% | 86.9% |
多発性骨髄腫 | 27.7% | 32.2% | 35.2% | 35.4% | 38.2% | 41.2% |
白血病 | 25.5% | 45.9% | 60.7% | 69.7% | 75.1% | 80.4% |
女性
がんの種類 | 0年サバイバー | 1年サバイバー | 2年サバイバー | 3年サバイバー | 4年サバイバー | 5年サバイバー |
口腔・咽頭 | 60% | 71% | 82.2% | 85.6% | 88.4% | 89.3% |
食道 | 37.6% | 55.5% | 70.3% | 80.4% | 84.4% | 86.2% |
胃 | 60.3% | 77.9% | 87.6% | 92.6% | 95.3% | 96.5% |
結腸 | 65.3% | 78% | 86.1% | 91.2% | 94.6% | 96.1% |
直腸 | 66.9% | 74.5% | 81.5% | 86.9% | 91.4% | 94.4% |
肝臓 | 23.6% | 30.6% | 31.7% | 34.8% | 36% | 38.4% |
胆嚢・胆管 | 17.8% | 41.6% | 61.3% | 75.1% | 84.5% | 87.6% |
膵臓 | 5.9% | 20.7% | 44.4% | 64.5% | 75.3% | 81.6% |
肺 | 37% | 53.4% | 66.2% | 74.7% | 80.5% | 84.2% |
皮膚 | 92.6% | 93.9% | 95% | 96.6% | 97.2% | 97.6% |
乳房 | 87.6% | 87.1% | 87.9% | 88.6% | 89.7% | 90.5% |
子宮頸部 | 69.3% | 76.7% | 85.2% | 89.6% | 92.8% | 95.4% |
子宮体部 | 78.6% | 84.9% | 90.3% | 94.1% | 95.7% | 96.2% |
卵巣 | 51.3% | 60.3% | 66.9% | 74.2% | 79.9% | 85.6% |
腎・尿路(膀胱除く) | 62.3% | 76.4% | 84% | 88.8% | 90.2% | 91.5% |
膀胱 | 65.9% | 80.7% | 88.1% | 91% | 93.3% | 95.3% |
脳・中枢神経系 | 29% | 44.6% | 63.9% | 74.6% | 82.7% | 84.1% |
甲状腺 | 95.5% | 98.7% | 99% | 99.1% | 99.2% | 99.3% |
悪性リンパ腫 | 58.1% | 73% | 80.2% | 84.1% | 87% | 87.1% |
多発性骨髄腫 | 29.6% | 36% | 38.4% | 43.1% | 45.2% | 48.4% |
白血病 | 26.5% | 45.3% | 58.6% | 66.5% | 70.9% | 77.4% |
出典:10年相対生存率およびサバイバー5年相対生存率(2002年~2006年追跡例)|がん情報サービス
日常生活の中で行えるがんの再発予防
生活習慣を整えることも、がんの再発予防として重要です。ここでは、がんの再発予防として、日常生活の中で行えることをご紹介します。
栄養バランスのよい食生活
栄養バランスのよい食事は健康を維持し、病気のリスクを減少させる基本的な要素です。特に、がん予防の観点からもその重要性が強調されます。以下の点に注意しながら、日常の食事を見直してみましょう。
まず、食物繊維が豊富に含まれる食材を日常の食事に取り入れることが大切です。野菜や根菜、海藻、果物などが良い食物繊維源となります。これらの食品は腸内環境を整える効果があります。
次に、肉の摂取量にも気を付けましょう。特に肉を食べ過ぎないよう心がけることが、健康維持のポイントとなります。さらに、加工肉の摂取はなるべく控えましょう。加工肉にはがんのリスクを高める可能性のある成分が含まれている場合があります。
また、減塩を心がけることも大切です。過剰な塩分摂取は高血圧や心疾患のリスクを高めるだけでなく、がんのリスクを高める可能性も指摘されています。
適度な運動をする
適度な運動は健康維持の基本です。特に、週に2~3回、30~60分の有酸素運動を取り入れることが推奨されています。ウォーキングやジョギングなど、心拍数を上げる活動は体力の向上だけでなく、がんの再発予防にも効果的です。健康のため、日常生活に積極的に運動を取り入れましょう。
適正体重を維持する
適正な体重の維持はがん予防と関連しています。適正な体重を知る基準として、BMI値の計算があります。BMIは体重(kg)を身長(m)で2回割った値で計算されます。
数式で表現すると、「BMI = 体重(kg) ÷ 身長(m)²」 です。
がん死亡のリスクが低いとされるBMI値は、通常18.5~24.9の範囲です。この範囲内であれば、がんによる死亡リスクが低くなると言われています。
太りすぎや痩せすぎはがんの死亡リスクを高める要因となります。太りすぎはメタボリックシンドロームのリスクを高め、それがさらにがんのリスクを増加させる可能性があります。逆に、痩せすぎも免疫力の低下や栄養失調を引き起こし、がんのリスクを高めることがあります。
そのため、適正な体重を維持することは、がん予防の観点からも非常に重要です。日常生活で適度な運動とバランスの取れた食事を心がけ、BMI値を適正範囲内に保つようにしましょう。
治療によるがんの再発予防(術後補助療法)
がんは一度治療が成功したとしても、再発や転移のリスクがあります。しかし、治療によってがんの再発を予防する方法が存在します。それが、「術後補助療法」と呼ばれる治療方法です。
術後補助療法はがんの再発や転移を防止する目的で行われる治療です。いくつかの方法があり、がんの種類や状態、進行度によって最適な治療方法が選ばれます。主な治療方法である「薬物療法」「放射線療法」「免疫療法」ついて以下に詳しく解説します。
薬物療法
再発予防としての薬物療法はがんの拡散や成長を抑える効果があります。薬物療法は化学療法やホルモン療法といった方法を含み、特定の薬物ががん細胞を攻撃し、健康な細胞への影響を最小限に抑えます。患者さんのがんの種類やステージに合わせて、適切な薬物や療法の組み合わせが選択されます。
放射線療法
放射線療法は、がんの再発予防として非常に有効な治療方法の一つです。特に、手術で完全に切除できなかったがん細胞をターゲットとします。高エネルギーの放射線を使用してがん細胞を死滅させ、その結果再発のリスクを減少させることが可能です。放射線療法は、正確かつ局所的にがん細胞を攻撃できるため、健康な細胞への影響も最小限に抑えることができます。
免疫療法
がんの再発予防として近年注目されている治療方法が「免疫療法」です。免疫療法は、体内の自然な免疫システムの力を利用し、がん細胞の発生や増殖を抑えることを目的としています。
具体的な治療内容は、体内に元々存在する免疫の力を増強し、がん細胞を効果的に攻撃できる状態を作り出します。これにより、がん細胞が増殖や拡散を行うのを防ぐことができます。さらに、免疫療法は、従来のがん治療方法に比べて副作用や体への負担が少ないという大きなメリットもあります。これは、免疫療法が主に体自身の防御機能を強化するため、周囲の健康な細胞へのダメージが抑制されるためです。
このような特性により、免疫療法はがんの再発予防において非常に有望な手段として注目されています。
まとめ
この記事では、がんの再発率や生存率についてご紹介しました。そして、がんの再発防止とその治療方法にも焦点を当て、日頃から皆さまが再発予防に努められるよう日常生活の過ごし方なども解説しました。
今回ご紹介した「免疫療法」は、がんの再発予防に効果的な治療方法として知られています。免疫療法の一つである「6種複合免疫療法」は、役割の異なる6つの免疫細胞を増殖・活性化させてがん細胞への攻撃力を高めます。
福岡同仁クリニックでは、この「6種複合免疫療法」を専門にご提供しています。聞きなれない治療方法で心配や疑問を多く抱く方も少なくありません。免疫療法にご興味がある方は、ぜひ一度当クリニックにお問い合わせください。
6種複合免疫療法についてさらに詳しく知りたい方はこちらよりご確認ください。
お電話でのお問い合わせ
専任のスタッフが丁寧に対応いたします。
ご不明な点などございましたら、まずはお気軽にご相談ください。
0120-271-580 受付時間平日9:00~18:00/土曜9:00~13:00