がん免疫療法コラム

家族ががんと宣告されたらどうする?仕事は休むべき?

がん患者の家族として、日常の中で多くの難しさや葛藤に直面することが少なくありません。仕事を続けるべきか、家族のために時間を確保するべきか、その判断に迷うのは自然なことです。本記事を通して、がん患者の家族が仕事と介護のバランスをどのように取るか、両立のための実践的なアドバイスやコツをお伝えします。

がん・6種複合免疫療法

家族ががんと宣告されたら


がんという病気は、宣告された瞬間、患者本人はもちろんのこと、家族も大きな衝撃を受けることが多いです。その感情は誰しもが理解できるものであり、その驚きや不安は非常に深いものです。しかし、この病気は珍しいものではありません。実は、日本人の2人に1人ががんという宣告を受けると言われています。この数字からも明らかなように、がんは私たちの身近な存在であり、誰にでも起こり得る状況です。

そのような事実を前に、大切なのは過度に恐れず、どのように前向きに進んでいくかを考えることです。未来の視点を持つことは、この難局を乗り越えるための重要な鍵となります。家族全員の心の健康や、質の良い日々の過ごし方を考慮に入れ、最も良い方法を見つけ出すことを目指しましょう。現状を受け入れ、未来を見据えることで、家族一同が支え合い、より良い日々を作り上げることができます。

参考:最新がん統計|がん情報サービス

がん介護のために仕事を休むのはNG?


がんの介護のために仕事を休むこと、それはNGではありません。実際、多くの企業では、従業員が家族の介護のために必要なサポートを受けられるよう、様々な制度やサポートが整っています。これにより、家族の健康を最優先にしながらも、仕事にも復帰できる環境が増えてきています。

しかし、残念ながらすべての職場が同じとは限りません。中には、制度はあるものの実際には休むことが難しい場所や、まだ制度が整っていない職場も存在します。それぞれの職場の実情を確認し、必要に応じて相談の上、適切な判断を下すことが大切です。

がん介護のために会社員が利用できる制度


がん患者の家族ががん介護のために、会社で利用できる制度がいくつかあります。

介護休暇

介護休暇とは、労働者が「要介護状態」にある対象家族の介護や世話をするための特別な休暇を指します。具体的に「要介護状態」とは、負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害によって、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態のことを指します

例えば、家族が交通事故に遭い、一時的に日常生活に支障をきたすような重傷を負った場合や、急激に悪化した慢性疾患により、一時的ながらも常時の介護が不可欠となった場合など、多くのケースでこの介護休暇を利用することが考えられます。

参考:介護休暇とは|厚生労働省考

介護休業

介護休業とは、労働者が「要介護状態」にある対象家族の介護のために取ることができる休業制度を指します。この「要介護状態」とは、負傷、疾病、または身体上もしくは精神上の障害に起因し、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態を示します

例として、家族が突然の疾病でベッド上での生活が強いられた場合、その回復までの期間、日常生活のサポートや医療機関との連携が求められることが考えられます。また、高齢の親が転倒し、骨折をしてしまった場合に、リハビリテーション期間中のサポートや看病を行う必要が出てくることもあるでしょう。これらのような状況下で、介護休業を活用することで、家族をサポートしながらも、自らのメンタルや生活の質を保ちつつ、仕事との両立を図ることが可能となります。

参考:介護休業とは|厚生労働省

有給休暇

有給休暇とは、労働者が心身の疲労を回復し、ゆとりある生活を保障するために付与される休暇制度を指します。この休暇を取得しても、労働者の賃金は減額されず、そのままの金額が支払われます。

所定の休暇日数は以下の表の通りです。

 雇入れの日から起算した勤続期間  付与される休暇の日数
 6か月  10労働日
 1年6か月  11労働日
 2年6か月  12労働日
 3年6か月  14労働日
 4年6か月  16労働日
 5年6か月  18労働日
 6年6か月以上  20労働日

有給休暇の取得は、疲労回復だけでなく、さまざまなケースでの活用が考えられます。例えば、家族が突然の病気や怪我で要介護状態となった際、急遽介護が必要となることがあります。このような状況で、短期間の休暇が必要となった場合、有給休暇を利用することで、家族をサポートする時間を作ることができます。

参考:年次有給休暇とはどのような制度ですか。|厚生労働省

がん・6種複合免疫療法

がん介護のためにあると便利な会社の制度


働き方によっては会社を休まなくても、家族をサポートする時間を作ることが可能です。

休暇以外に、がん介護のためにあると便利な会社の制度についてご紹介します。

フレックスタイム制

フレックスタイム制とは、労働者が日々の始業・終業時刻や労働時間を自ら決定することができる制度を指します。これにより、労働者は生活と業務の間での調和を図りながら、効率的に働くことが可能となります。

フレックスタイム制の活用は、多岐にわたる生活のニーズに応じて労働時間を調整することができるため、介護のような急な家庭の事情にも対応しやすくなります。例えば、高齢の親ががんで通院が必要となり、その付き添いや病院での手続きに時間がかかる場合、始業時刻を遅らせることで、そのニーズに対応しながらも、仕事の効率を保つことができます。

また、途中で介護が必要となった場合も、終業時刻を早めることで家族のサポートに駆けつけることが可能です。このように、フレックスタイム制は、働き手が家庭やプライベートの事情と仕事とのバランスを取りやすくする制度として、介護をはじめとした多くのライフイベントに役立てることができます。

リモート勤務

リモート勤務とは、ICT(情報通信技術)を活用して、オフィス以外の場所(例:自宅やカフェ、コワーキングスペースなど)で仕事を行う柔軟な働き方を指します。これにより、時間や場所の制約を受けずに、効率的な作業を進めることが可能となります。

このようなリモート勤務の制度は、特に介護などの家庭の状況が変わるケースで非常に役立ちます。例えば、親が高齢で急に体調を崩した際、病院への付き添いや看病が必要となることが考えられます。リモート勤務を導入している場合、自宅近くの医療機関を利用しながら、必要な介護やサポートを提供しつつ、仕事のタスクも進めることができます。

リモート勤務は、介護と仕事の両立を目指す労働者にとって、非常に有効な制度といえるでしょう。

参考:テレワークとは|働き方・休み方改善ポータルサイト

どうしても仕事を休めないときに頼れるがん介護に関するサービス


どうしても仕事を休めないときは、介護施設を利用する方法を考えてみましょう。

以下に、がん介護に関するサービスについてご紹介します。

通所介護(デイサービス)

通所介護(デイサービス)とは、高齢者や障害者などの利用者が自宅での生活を継続しつつ、一時的に外部の施設で様々なサービスを受けることができる制度を指します。具体的には、利用者の孤立感の解消、心身機能の維持、家族の介護負担の軽減を目的としています。

例として、家族が日中、仕事や学業などで家を空ける必要があり、一人暮らしの高齢の家族を長時間留守にすることが難しい場合が考えられます。このようなケースで、通所介護を利用することにより、利用者は日中、安心して様々なサービスを受けることができ、一方で家族も安心して外出することができます。

また、施設での社会的交流やリハビリテーション、趣味活動などを通して、利用者の生活の質を向上させることも可能となります。

参考:通所介護(デイサービス)|厚生労働省

短期入所生活介護(ショートステイ)

介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)は、常に介護が必要な高齢者を対象とした施設です。こうした施設は、短期間の入所を受け入れ、入浴や食事、排泄のサポートや機能訓練などのサービスを提供しており、高齢者の日常生活をサポートすることを主な目的としています。

このような施設が介護に役立つケースの一例として、家族が一時的に介護を続けることが難しい場合が考えられます。例えば、主要な介護者である家族が手術や療養のために一時的に自宅を離れる必要があるときや、家族全員が旅行や行事で留守にする予定があるときなどです。家族は一時的な外出や自身の療養などに専念することができ、高齢者も専門的なケアを受けられるというメリットがあります。

参考:短期入所生活介護(ショートステイ)|厚生労働省

訪問介護(ホームヘルプ)

訪問介護(ホームヘルプ)は、高齢者や障害を持つ方が自宅でより快適に暮らすためのサービスの一つです。具体的には、訪問介護員(ホームヘルパー)が利用者の自宅を定期的に訪問し、食事、排泄、入浴などの日常的な身体のケアや、掃除、洗濯、買い物、調理などの生活のサポートを行います。

一人暮らしの高齢者ががんを患ったことで、日常生活が困難になったとき、家族が遠方に住んでいるなどの理由で日常のサポートが難しい場合、ホームヘルパーのサポートにより、安心して自宅での療養を続けることが可能となります。また、常時の介護が必要な状態でも、ホームヘルパーの訪問をうまく活用することで、長期間の入院や施設入所を避け、自宅での生活を継続することができます。

参考:訪問介護(ホームヘルプ)|厚生労働省

がん介護に関する費用を助けてくれる公的制度


がん介護では、経済的な支援も得られます。

ここでは、がん介護に関する費用を助けてくれる公的制度についてご紹介します。

介護保険

介護保険は、日本の高齢者やその家族が介護の負担を軽減できるための制度です。もしも高齢者が介護を必要とする際には、その人の住む市区町村に申請を行い、要介護の認定を受けることで、介護保険が提供するサービスを利用することができます。このサービスの額は、被保険者の状態や需要に応じて決定されます。

高齢の家族ががんを患ったことにより、今まで一人でできていた日常生活が困難になった際に介護保険を活用できます。介護保険は、ホームヘルパーやデイサービス、ショートステイなどのサービスを受けることができ、安心して生活を継続することが可能となります。

これにより、家族や親戚が遠方にいる、または忙しいために直接のサポートが難しい場合でも、高齢者が安心して生活を続けることができるのです。

参考:病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)|全国健康保険協会

医療費控除

医療費控除は、一年間の医療費が一定の額を超えた場合、その超えた分の金額を所得から差し引くことができる制度です。具体的な控除の金額は、超過した医療費の額に基づき計算されます。この制度は、医療費が高額になりがちな方々の経済的な負担を軽減する目的で設けられています。

高齢の親ががん治療のために薬や通院治療を受けている場合、その治療費がかさんできます。また、同時に介護サービスや福祉用具の購入など、日常生活を支えるためのさまざまな費用が発生するかもしれません。このような場合、一年間の医療費が急増し、設定された一定の額を超える可能性が高まります。その際、医療費控除を活用することで、税金の負担を少しでも軽減することが可能となるのです。

参考:医療費を支払ったとき(医療費控除)|国税庁

高額療養費制度

高額療養費制度は、医療費が1か月分(歴月:1日から末日まで)の中で所定の上限額を超えた場合、その超えた分の医療費を公的な制度として支給するものです。この制度は、病気や怪我などで突如として大きな医療費がかかった際に、その負担を軽減する目的で導入されています。

高額療養費制度は、がんの治療で入院や手術が必要になった場合に有効です。病院の入院費用や手術費、さらにリハビリテーションなどの治療が継続的に必要になると、1か月の医療費はかなりの額になることが考えられます。このような場合、高額療養費制度を利用することで、医療費の一部を補助・還付してもらうことが可能となります。

参考:高額療養費制度を利用される皆さまへ|厚生労働省

傷病手当金

傷病手当金は、健康保険の制度の一部として、被保険者が病気やケガにより労働ができなくなった場合、事業主から十分な報酬が受けられないときに支給される給付金です。この手当金は、被保険者が治療を受けながら安心して休養できるように、一時的な経済的支援を提供することを目的としています。

傷病手当金は、中高年の労働者が家族のがんで要介護状態の高齢者を介護している際、労働者自身が病気やケガをしてしまった場合に受け取れます。この労働者が入院や治療により仕事を休むことになった場合、収入が減少する中で家族の介護に必要な費用を捻出することは難しくなるからです。

参考:病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)|全国健康保険協会

工夫によっては働きながらがん介護も可能


がん介護は心身共に負担が大きく、特に仕事と両立させる場合は計画的な対応が必要となります。

例えば、あるサラリーマンの方(以下Aさん)は、母親のがん介護を進めるための「介護の司令塔」として立ち振る舞っていました。

Aさんには、がん介護に協力する家族が自身を含めて4人いました。それぞれの役割が明確で、誰一人として負担を感じることなく介護を進めることができました。

Aさんは早期から会社に状況を説明し、在宅勤務への移行を果たしました。そして、家族が介護と仕事を無理なく進められるよう、「仕組み作り」に力を入れていました。彼が取りまとめたシフトスケジュールは、母親と過ごす「良い時間」を追求するもので、それぞれのスケジュールに基づき、必要とされる介護の時間を計画しました。

シフト交代時には、母親の状態を詳細に報告、連絡、相談し合うことで、スムーズかつ連携の取れたケアを提供していました。さらに、ケアマネジャーやホームヘルパーといったプロの介護スタッフのサポートも上手く利用していました。

家族の協力と公的サービスを上手く組み合わせたことで、Aさん家族は仕事と介護の両立を実現し、母親に安心と安定したケアを提供していました。

このように、工夫次第では、がん介護と仕事の両立は可能なのです。

仕事の休み方に悩んだらプロに相談を


ここまで、がん介護に活用できる様々なサービスや制度についてご紹介しました。

しかし、実際に活用する際に疑問や迷いが生じることもあるでしょう。

そんなときは、介護のプロに相談することをおすすめします。

地域包括支援センター

地域包括支援センターは、日本の高齢者や障害者を中心とした地域住民の心身の健康や生活の安定を支えるための施設です。具体的には、各種の相談対応や情報提供、福祉サービスの調整など、地域住民の様々なニーズに対応して、心身の健康の保持及び生活の安定のために必要な援助を行っています。

例えば、独居の高齢者ががんを患った際、患者やその家族が適切な介護サービスや医療サービスを受けるための情報やアドバイスを求めることができます。また、患者の日常生活においてさまざまなサポートが必要な場合や、新たに要介護状態となった際の手続きのサポートなど、地域の高齢者やその家族が直面する多岐にわたる課題に対する相談やサポートを受けることができます。

参考:地域包括支援センターについて(概要)|厚生労働省

介護支援専門員(ケアマネジャー)

介護支援専門員、一般に「ケアマネジャー」として知られる職種は、要介護者や要支援者の個別のニーズや心身の状況を理解し、適切な介護サービスを受けられるようサポートします。具体的には、ケアマネジャーは相談対応を始めとし、ケアプラン(介護サービス等の提供についての計画)の作成や、サービス事業者・施設等との連絡調整を行う役割を持っています。

がんで病院から退院後のリハビリを必要とする際、ケアマネジャーは高齢者の現状やニーズに合わせて、適切なデイサービスや訪問介護、短期入所生活介護などのサービスを組み合わせてケアプランを作成します。さらに、サービスの提供元となる事業者や施設との連絡調整も行い、高齢者がスムーズに必要なサポートを受けられるようサポートします。

参考:介護支援専門員(ケアマネジャー)|厚生労働省

がん・6種複合免疫療法

まとめ


本記事では家族ががんになった際に、仕事を休む時に利用できる制度をご紹介しました。また、仕事を休めない場合においても、働き方の工夫や介護施設の利用などについて解説しました。

特に、通院で治療ができる化学療法では副作用が出やすいとされるため、親が高齢の場合、介護が必要になることもあるでしょう。

そこで、今回ご紹介するのが「6種複合免疫療法」です。6種複合免疫療法は、患者様の免疫力を向上させることを目的とし、体内でのがん細胞の増殖を抑えることを試みます。特に、再発を防ぐ方法としての可能性が注目されています。

福岡同仁クリニックでは、この6種複合免疫療法の提供はもちろん、患者様一人ひとりの体質や状態に合わせた治療法をご提案いたします。患者様とのコミュニケーションを大切にし、最適な治療法をご提案することで、より良い治療結果を目指しています。

6種複合免疫療法についてさらに詳しく知りたい方はこちらよりご確認ください。

がん・6種複合免疫療法

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