がん免疫療法コラム

がん免疫療法は効く人と効かない人がいるの? 治療の効果や個人差の表れ方について解説

がん免疫療法が効く人と効かない人の差は、一部の治療法において統計の結果で明らかにされました。がん免疫療法は、身体への負担が比較的小さい治療法であり、全身療法のため再発予防にも期待できると注目を集めています。

しかし、がん免疫療法以外の手術療法や放射線療法、薬物療法も効く人と効かない人が存在します。どの治療法も全ての患者さんに等しく効果があるわけではないことを理解することが大切です。

本記事では、がん免疫療法の治療の効果や個人差の表れ方について解説します。

がん細胞は体の免疫力を弱めてしまう


がん細胞は体の免疫力を弱め、自己防衛を図る特性を持っています。具体的には、PD-L1と呼ばれるタンパク質を産生し、これが体内の免疫機能に対して「ブレーキ」のような働きをするのです。PD-L1タンパク質は、免疫細胞の表面に存在するPD-1という受容体と結びつき、免疫細胞の攻撃活動を抑制します。

結果、免疫細胞の働きが鈍くなり、がん細胞が体内で成長し続けてしまうのです。この巧妙ながん細胞の戦略が、がん治療を複雑で困難なものにしています。

しかし、最新の医療技術により、PD-L1とPD-1の結びつきを阻止し、免疫細胞の働きを復活させる治療法の開発が進められています。

がん免疫療法とは?


免疫療法は、体の免疫力を活性化させてがん細胞を排除する全身療法で、医学界の新たな希望となっています。従来の「3大療法」、つまり手術療法、放射線療法、化学療法に次ぐ、比較的新しい治療法です。免疫療法の研究と臨床応用は現在も進行中で、その治療効果や安全性についての確証はまだ全てのケースにおいて得られているわけではありません。

科学的な証明がなされた免疫療法は、医療保険の対象となります。これは、その治療法が信頼性と効果を持つことを意味し、患者さんにとっては費用面でも大きなメリットとなります。

しかし、効果を証明したからといって、副作用が全くないわけではありません。副作用は、がん種や個々の身体状況によりさまざまで、一部の患者さんにとっては重篤な影響を及ぼすこともあります。

したがって、免疫療法を受けている患者さんは、体調に異変を感じた場合はすぐに医師に相談することが重要です。

がん免疫療法は効く人と効かない人がいるの?


がん免疫療法は、その種類により効く人と効かない人がいるとされています。

どのような人に効果があるのかなどは、後半で詳しく解説します。どの治療においても、必ずしも全ての患者さんに対して効果があるわけではないことを理解する必要があります。

がん免疫療法の種類

がん免疫療法にはさまざまな種類があります。

ここでは、2種類の免疫療法についてご紹介します。

免疫チェックポイント阻害薬を使う方法

免疫チェックポイント阻害薬は、がん細胞により抑制された体の免疫力を元に戻す画期的な治療法です。PD-L1やPD-1というタンパク質に結びつくことで、がん細胞によってかけられた「ブレーキ」を解除する役割を果たします。

具体的には、免疫チェックポイント阻害薬がPD-L1やPD-1と結びつくことで、免疫細胞であるT細胞の働きが復活します。T細胞は本来、体内で異常を起こす細胞を攻撃する能力を持っており、その活動を妨げるがん細胞の策略を打破することが可能となります。

この方法により、本来の免疫力が取り戻され、T細胞ががん細胞を効果的に攻撃できるようになるのです。免疫チェックポイント阻害薬は、人間の自然な防御機能を最大限に活用する新たな治療法として、がん治療の新たな希望となっています。

体の免疫力を高める方法

免疫療法は、体の免疫力を高めるための治療法が多く存在します。その中でも、「エフェクターT細胞療法」が注目を浴びています。エフェクターT細胞療法は、その効果が科学的に認められ、医療保険の対象となっているため、より多くの患者さんが利用できます。

エフェクターT細胞療法は、体内から本人のT細胞を取り出し、がん細胞を特定・攻撃するための特定の遺伝子を組み入れる方法です。遺伝子を組み入れたT細胞は増強され、再び体内に戻されます。これにより、T細胞ががん細胞を見分け出し、効果的に攻撃できるようになるのです。

エフェクターT細胞療法は一例に過ぎません。免疫療法の分野は広く、他にも多くの手法が開発され、研究が進められています。それぞれの治療法は独自のアプローチを提供し、がんと闘うための新たな希望を患者さんにもたらすでしょう。

免疫チェックポイント阻害薬で十分な治療効果を得られるのは2~3割程度


免疫チェックポイント阻害薬は、がん治療の新たな選択肢として注目を集めていますが、全ての患者さんに対して等しく効果があるわけではありません。統計によれば、この薬剤によって十分な治療効果を得られるのは、患者さん全体の約2〜3割程度とされています。

つまり、この薬剤が適用可能と判断されたケースでも、残念ながら全ての患者さんが十分な効果を得られるわけではないのです。これは、がんや免疫系の複雑な性質、また患者さん一人ひとりの身体状態やがんの進行度が影響します。

免疫チェックポイント阻害薬が効く人と効かない人がいる理由


現時点ではまだ研究段階ではありますが、免疫チェックポイント阻害薬が特に効果的となる人々の特徴が明らかになってきています。その特徴は、腫瘍組織内に存在するリンパ球の性質を詳しく解析する臨床検査を通じて判明しました。これまで、この免疫チェックポイント阻害薬の効果を予測するバイオマーカーは存在しませんでしたが、今後は腫瘍浸潤リンパ球の解析により、その適正な使用が可能になる可能性が見えてきました。

具体的には、治療が有効だった人の特徴として、がんを攻撃する「腫瘍浸潤エフェクターT細胞」のPD-1が多く、逆にがんが免疫細胞からの攻撃を避けるのに利用する「腫瘍浸潤制御性T細胞」のPD-1が少ないことが指摘されています。

6種複合免疫療法とは?


「6種複合免疫療法」は、名前の通り、6種類の免疫細胞を同時に培養し、それぞれの免疫細胞が連携してがん細胞を攻撃するという新しい治療法です。この6種類の細胞には、がん細胞を攻撃する「キラーT細胞」を含む、さまざまな免疫細胞が含まれます。

免疫細胞は、個々に異なる役割を果たしながら、同時にチームとして協力して働きます。複数の免疫細胞が一緒になって働くことで、それぞれの細胞が持っている能力を最大限に引き出し、全体としての治療効果を高めることが期待できます。

6種複合免疫療法

まとめ


免疫療法は効く人と効かない人が存在します。そして、免疫療法の代表的な治療法である「免疫チェックポイント阻害薬」の効く人の特徴としては、「腫瘍浸潤エフェクターT細胞」のPD-1が多く、「腫瘍浸潤制御性T細胞」のPD-1が少ない人という統計結果が発表されました。

しかし、免疫療法には免疫チェックポイント阻害薬以外にも多くの治療法があります。今回ご紹介した「6種複合免疫療法」もその一つです。

福岡同仁クリニックでは、新たながん治療法として6種複合免疫療法を提供しています。福岡でがんの治療法を検討している方は、ぜひ一度当クリニックへご相談ください。患者さん一人ひとりに合った最適な治療法をご提案いたします。

6種複合免疫療法についてさらに詳しく知りたい方はこちらよりご確認ください。

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