がん免疫療法コラム

抗がん剤治療中は感染症に注意! 免疫力が低下する期間や注意したい症状について解説

抗がん剤治療中は免疫力が低下するため、感染症に注意しなければなりません。症状が重篤にならないよう、「なぜ抗がん剤治療で免疫力が低下するのか」をよく理解し、しっかりと対策を取る必要があります。本記事では、免疫力が低下する期間や注意したい症状について解説します。

抗がん剤治療とは?


抗がん剤治療は、がんの3大治療法の一つで、化学療法とも呼ばれる治療法です。飲み薬や点滴、注射などの形で抗がん剤を投与し、がん細胞の成長を抑えることを目的としています。治療の対象となるがんは様々で、がんの種類や患者さんの体質によって使用する薬剤も異なります。

抗がん剤治療は、主に2つの目的で行われます。

一つは「がんの根治を目指す」治療で、もう一つは「がんの進行を遅らせる」治療です。前者は主に初期のがんに対して行われ、後者は進行や再発したがんに対して行われます。

一般的に抗がん剤治療は全身治療という特性を持っており、広範囲に転移してしまったがんに対しても効果を発揮します。また、がん細胞が全身に広がるのを防ぐため、がんの再発や転移予防にも適しています。しかし、抗がん剤治療には副作用があります。全身に働きかけるため、がん細胞だけでなく正常な細胞にも影響を与える可能性があります。主な症状は、脱毛、食欲不振、吐き気などです。

抗がん剤の副作用


抗がん剤治療を受ける際は、副作用に注意が必要です。使用する薬剤の種類によっても、起こりうる副作用は異なります。さらに、副作用には見た目で分かる症状と、検査によって明らかになる症状が存在します。ただし、副作用の症状や程度、持続する期間などには個人差があることを念頭に置く必要があります。全ての人が全ての副作用を経験するわけではなく、また同じ副作用でもその程度は人によって異なります。

自分自身で分かる副作用の症状

抗がん剤治療は効果的ながん治療の一つですが、一方で副作用に注意が必要です。副作用は見た目に現れるものもあり、患者さんの日常生活に影響を及ぼすことがあります。

まず、抗がん剤の投与日に、吐き気や発熱などの副作用が現れることがあります。体内に抗がん剤が入ると体はそれを異物と認識し、反応を示すからです。投与の翌日から1週間後には、倦怠感、食欲不振、吐き気、嘔吐、下痢などの症状が見られることがあります。これらは抗がん剤が体内で作用している証拠であり、適切な食事や休息、薬剤の使用によって対応します。

1〜2週間後には、口内炎や食欲不振、下痢などが見られることもあります。口内炎は食事をとることが辛くなるため、適切な口腔ケアが必要になります。2〜3週間後くらいで、脱毛や皮膚障害(角化、しみなど)、手足のしびれなどが現れることがあります。脱毛は抗がん剤が毛髪の成長を阻害するのが原因であり、皮膚障害やしびれは抗がん剤の神経毒性によるものです。

しかし、副作用の発現や程度は個々の体質や使用する抗がん剤の種類によって異なります。

検査で分かる副作用の症状

抗がん剤治療の副作用は、見た目に現れるものだけでなく、体内での変化として現れることもあります。日常生活で直接感じることは少ないものの、定期的な検査によって明らかになります。ここでは、骨髄抑制、貧血、肝機能障害といった、検査で分かる抗がん剤治療の副作用について解説します。

まず、骨髄抑制です。抗がん剤は骨髄を抑制することで、赤血球、白血球、血小板の生産が減少します。感染症にかかりやすくなる、疲れやすくなる、出血しやすくなるといった問題が生じます。骨髄抑制の程度は血液検査によって確認できます。次に、貧血です。骨髄抑制により赤血球の生産が減少すると、酸素を全身に運ぶ能力が低下するため、貧血状態になります。慢性的な疲労感や息切れを引き起こし、生活の質を下げる可能性があります。

最後に、肝機能障害についてです。抗がん剤は肝臓に負担をかけ、機能を低下させることがあります。肝臓は体内の毒素を解毒し、栄養素を体内に適切に分配する重要な役割を果たしています。肝機能が低下すると、全身の状態に影響を及ぼす可能性があります。これらの副作用は重篤な問題を引き起こす可能性があるため、定期的な検査と医療スタッフとの密なコミュニケーションが大切です。抗がん剤治療を受ける際は、これらの可能性を理解し、自身の健康管理に注意を払う必要があります。

抗がん剤投与によって免疫力が下がると感染症にかかりやすくなる


抗がん剤治療は、骨髄の機能を低下させる副作用があります。骨髄の機能低下により、白血球の一種である好中球の数が減少します。これが体内で起きると、私たちの体は感染症に対する防御力を大幅に失うことになります。好中球は、白血球全体の約45〜75%を占めるといわれています。体内で細菌や真菌などの異物が侵入すると、好中球はそれを捕食し分解することで、私たちを感染症から守ってくれます。好中球の働きは免疫力の一部であり、好中球の減少は免疫力の低下を意味します。

結果、様々な箇所や部位で感染症になる可能性が高まります。口腔内、皮膚、肺、腸など、普段は体内の防御機能が働いて感染を防いでいる箇所が、感染のリスクを抱えることになるのです。抗がん剤治療を受ける方は、医師からの指示に従い、衛生管理を徹底し、適切な栄養摂取、適度な運動を心がけることが重要です。また、異常な症状が現れた場合はすぐに医師に相談しましょう。

免疫力が低下する期間

抗がん剤投与から約1週間後〜10日後にかけて、白血球(特に好中球)の数が減少し始め、免疫力が低下します。約10日後〜2週間後が最も危険な期間とされ、この時期には白血球の数が最低数に達します。この期間は特に感染症にかかりやすくなるため、衛生管理を徹底しなければなりません。

約3週間後から白血球の数は回復し始め、免疫力も徐々に回復します。しかし、免疫力が完全に元の状態に戻るまでには時間がかかるため、治療終了後も自己管理には注意が必要です。ただし、具体的な時期や症状については個人差があります。

感染症が疑われる症状

抗がん剤治療の副作用で免疫力が低下し、感染症にかかりやすくなった場合、以下のような症状が現れることがあります。

  • 5度以上の熱や寒気
  • 咳や喉の痛み
  • 歯肉痛、虫歯、口内炎
  • 消化器症状(下痢、腹痛など)
  • 排尿痛、頻尿、排尿困難
  • 肛門痛
  • 陰部のかゆみやおりものの増加、不正出血
  • 皮膚の赤み、発疹
  • 傷口の痛み、腫れ、排膿

抗がん剤の投与後に上記のような症状が現れた場合は、感染症の疑いがあります。早期発見・早期治療が重要になるため、異常を感じたらすぐに医師や看護師などの医療従事者に伝えましょう。

感染症を予防するためにできること

感染症は日々の生活習慣を工夫することで予防が可能です。以下に、感染症を予防するためにできることをご紹介します。

 対策 具体的な内容
 手洗いとうがい 外出後や食事前などに、手洗い・うがいをすることで感染源となる細菌やウィルスを除去します。
 口内の清潔維持 歯磨きで口内を清潔に保ちましょう。硬く大きい歯ブラシは口内を傷つける恐れがあるので、小さめの柔らかい歯ブラシを使用しましょう。
 入浴 入浴は皮膚の清潔維持に効果的です。体調がすぐれず入浴できない場合は、清潔なタオルなどで体を拭きましょう。
 保湿 手や足、体を保湿することで皮膚のバリア機能を保つことができ、皮膚からの感染を防げます。
 人混みを避ける 感染症は他の人からうつる可能性があるため、人混みや密閉された場所は避けましょう。

免疫力を低下させることなくがんを治療できる免疫療法とは?


免疫力を維持したまま治療を進めたい、または副作用のリスクを最小限に抑えたいと考えている方には、免疫療法という選択肢があります。

免疫療法とは、自身の免疫力を利用してがんを攻撃する治療法です。人間の体内には元々、異物や細菌、ウィルスなど体にとって有害な物質を排除するための免疫機能が備わっています。免疫療法は、この免疫機能を活性化させ、がん細胞に対抗する力を強める治療法です。

免疫療法は全身に対する治療なので、局所的な手術療法や放射線療法では取り除けない、微小ながん細胞に対しても効果を発揮します。また、体内でがん細胞が再び増殖することを抑制するため、がんの再発予防にも役立ちます。しかし、免疫療法にも副作用はあります。治療により免疫反応が過剰になると、健康な細胞まで攻撃してしまうことがあります。これが免疫療法特有の副作用である免疫関連副作用(irAEs)です。

免疫療法は抗がん剤治療とは異なり、体全体の免疫力を低下させることなくがん細胞を攻撃します。一般的な感染症に対する抵抗力が維持され、日常生活への影響が少なくなります。これらの特性から、免疫療法は抗がん剤治療と並び、現代のがん治療における重要な手段となっています。

免疫療法と抗がん剤治療の違い


免疫療法と抗がん剤治療では、起こり得る副作用や効果が現れるタイミングなどが異なります。以下に、抗がん剤治療との違いをふまえながら、免疫療法の特徴について解説します。

起こり得る副作用の違い

免疫療法は、全身治療という点では抗がん剤治療と同じですが、アプローチの仕方が大きく異なります。抗がん剤治療が直接がん細胞を攻撃するのに対し、免疫療法は自身の免疫システムを活用してがん細胞を攻撃します。このため、健康な細胞を誤って攻撃して傷つける可能性が低くなっています。

免疫療法は重篤な副作用が起きにくいとされていますが、それでも軽度の副作用は起こり得ます。例えば、軽い発熱や倦怠感、皮膚の発疹などが報告されています。しかし、症状は一過性のものなので、治療を続けることで自然と軽減することが多いです。

副作用が少ないとされる免疫療法ですが、なかには注意が必要な治療法もあります。それが、免疫チェックポイント阻害療法です。この治療法は、がん細胞が自己防御する「免疫チェックポイント」と呼ばれる仕組みを阻害し、免疫システムががん細胞を攻撃しやすくするものです。

しかし、免疫応答が過剰になると、健康な細胞を攻撃する免疫関連副作用(irAEs)が発生する可能性があります。治療を調節することで副作用は管理できますが、自身の体調を常に注意深く観察し、異常があればすぐに医療スタッフに報告することが重要です。

体にかかる負担の違い

抗がん剤治療は、がん細胞を効果的に攻撃する反面、副作用が起きやすいという欠点があります。副作用は、患者さんの生活の質(QOL)を大きく下げる要因となることもあります。

一方で、免疫療法は治療法にもよりますが、抗がん剤に比べて重篤な副作用が起こる可能性が低いとされています。免疫療法が自身の免疫システムを活用し、正常な細胞を標的としないためです。結果として、体への負担が少なく、生活の質を維持しながら治療を進める可能性が高まります。

さらに、高齢の方や抗がん剤の副作用に耐えられない方でも、免疫療法であれば治療を受けられます。重篤な副作用のリスクを減らしたいと考えている方や、従来の抗がん剤治療が難しい方は、専門医と相談しながら免疫療法について検討すると良いでしょう。

効果が表れるタイミングの違い

抗がん剤治療は効果が速やかに現れるというメリットがあります。治療薬が投与されると、すぐにがん細胞に対する攻撃が始まります。一方、免疫療法は即効性に欠けます。なぜなら、免疫療法は免疫細胞の活性化や増殖を促す治療法であり、効果が現れるまでには一定の時間が必要だからです。

しかし、免疫療法の効果は長期にわたって継続することが多いとされています。免疫細胞が活性化され、体内のがん細胞を見つけ出し、攻撃する能力が向上します。その結果、治療後も免疫システムががん細胞と闘い続けることが可能となり、長期的な効果が期待できます。

短期間での効果を重視するか、長期間にわたる効果を求めるかによって、治療法の選択が変わるかもしれません。

費用の違い

抗がん剤治療は基本的に健康保険が適用されるため、費用面での負担は比較的少ないといえます。一方、免疫療法は一部の治療法を除き、基本的に自由診療となります。免疫チェックポイント阻害薬による治療法などは健康保険の対象となりますが、それ以外の免疫療法は自由診療となるため、費用が高額になる可能性があります。

しかし、免疫療法の費用は所得税の医療費控除の対象になるため、治療費用の一部が戻ってきます。それでも治療を開始する前に、自身の経済状況と治療費用のバランスを検討することは重要です。

免疫療法は抗がん剤治療との併用も可能


がん治療では、複数の治療法を組み合わせて用いることがあります。免疫療法と抗がん剤治療の併用はその一つであり、各治療法の特性を最大限に活用することが可能です。抗がん剤治療によってがん細胞を減少させた後、免疫療法によって残ったがん細胞を排除するという方法です。

しかし、どの治療法をいつ受けるかは、患者さんの状態やがんの種類、進行度などによって異なるので、必ず専門の医師と相談することが重要です。

6種複合免疫療法

まとめ


本記事では、がんの治療法としての抗がん剤治療と免疫療法について詳しく解説しました。抗がん剤治療は直接がん細胞を攻撃するものの、強い副作用を引き起こす可能性があります。一方、免疫療法は自身の免疫力を利用してがん細胞を排除しようとする治療法で、副作用のリスクが低く、体への負担も少ないという特徴があります。

そして、今回ご紹介した免疫療法のなかには「6種複合免疫療法」という治療法があります。6種複合免疫療法は、私たちの体内にある免疫細胞を一度体外へ取り出し、約3週間かけて培養します。6種類の細胞を同時に活性化・増殖させ、再び体内に戻すことでがん細胞に対する攻撃力を強化します。

福岡同仁クリニックでは、あきらめないがん治療として6種複合免疫療法を提供しています。従来のがん治療に比べて、肉体的・精神的苦痛の少ない治療法です。入院の必要もなく、通院での治療が可能なので、生活の質の向上にもつながります。

副作用を最小限に抑えたい方や、従来のがん治療では十分な効果が得られなかった方は、ぜひ一度福岡同仁クリニックにご相談ください。患者様一人ひとりに合わせた最適な治療法をご提案させていただきます。

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