がん免疫療法コラム

体重、筋肉量の減少を防ぐために

【体重が減らないようにする事が大切です。】

がんになると症状や治療による副作用などにより食事摂取量が低下する事で筋力低下や体重が減少します。なぜそれらが良くないのか?についてですが、主な影響として治療による副作用が出やすくなる、治療の効果も低下する、がんの増悪、生存率の低下、状況によっては治療そのものを一時中止しなければならなくなります。

【主に関係する因子】

主に腫瘍による圧迫、通過障害や手術による切除、嚥下障害(飲み込みづらさ)、満腹感を早くに感じやすくなる、治療の副作用による悪心、嘔吐、下痢、便秘、口内炎、味覚の変化、精神的なストレス、不安などがあります。

【悪液質について】

がんの進行により脂肪、筋肉の分解や食欲が低下し体重が減少したり、疲労、だるさ、などの機能障害や代謝障害が起こります。

これらに関係する事として炎症性サイトカイン(細菌やウイルスが侵入した時にそれらを攻撃して身体を守る働き)やレプチン(食欲を抑える働き)などにより脳には食欲をコントロールする食欲中枢があります。そこで食欲を抑えるよう働きかけます。

また食べられないからやせるだけではありません。先程の筋肉や脂肪なども分解し、食べていても体重が減少する場合もあります。

〇悪液質の診断〇

過去6か月間の体重減少が5%を超える

BMIが20以下、体重減少が2%を超える

サルコペニア、体重減少が2%を超える

◆BMIの計算◆

体重(kg)÷(身長(m)×身長(m))=

25以上は肥満

18.5以上25未満は普通

18.5未満はやせ

◆標準体重の計算◆

身長(m)×身長(m)×22=

〇サルコペニア〇

サルコペニアとは加齢や病気などにより筋肉量と筋力が低下した状態です。簡単に確認する方法として指輪っかテストがあります。利き足ではない方のふくらはぎの最も膨らんだ部分を両手の親指と人差し指で囲みます。囲めない場合はサルコペニアの可能性は低く、すき間が空く場合はサルコペニアの可能性が高いとされています。

【悪液質の治療】

※治療法は医師の判断によります。

主に薬物療法ではステロイド剤、グレリン、n-3系多価不飽和脂肪酸など炎症性サイトカインの産生を抑えたり、摂食を刺激する働きなどがあります。

食事療法はバランスの良い食事が大切です。食事がなかなか入らない時は栄養補助食品が必要になる場合もあります。

運動療法は以前お話した筋力トレーニングや有酸素運動などで筋力や体力を維持する事が大切です。

6種複合免疫療法

【まとめ】

筋力低下、体重減少は身体に大きな影響を及ぼします。そのためできる限り早期から対処が必要です。体重減少は多くの患者様に見られます。体重減少を防ぐためだけに食事や運動を行うのではなく、生活の質を高めるなど多くの事を含めて大切です。

【参考・引用文献】

https://www.cancernet.jp/wp-content/uploads/2021/05/w_akuekishitsu210511.pdf

mini_202103_02.pdf (juntendo.ac.jp)

cachexia_handbook-4.pdf (jascc.jp)

ja (jst.go.jp)

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