がん免疫療法コラム
ご遺族様が無理なく過ごすために
☆ご家族様も患者様と同じくらい、もしくはそれ以上の苦しみがあります。患者様とご家族様は別、ご家族様は患者様程ではない。など考えないようにしましょう。
【大切なのは焦らず無理のない範囲で過ごす事ができる環境です】
特に精神的な不調の場合、疲れやすさ、判断力の低下、落ち込みなどがあります。例えば不調が続き普段通りに家事などを行う事ができない場合は、可能であれば他の家族、他者などが協力して行う、疲労が強い時は無理せず休む事も必要です。その中でそのご遺族様が一人で心の整理の時間や場所があるとより過ごしやすくなります。とは言え個人差がありますので必ずしもこれらの方法をしなければならない分けではありません。自然にまかせたり、自分にとってこの方法が行いやすいと思った場合は自分なりに過ごして良いのです。
一見、元気そうと思っても心の中では無理をしている可能性もありますので注意する必要もあります。
【落ち込む意味】
落ち込む事は悪い事ではありません。これまでの生活や人生を振り返り、今後の生き方を見つめ直す意味もあります。
【いかにどう向き合うか】
悲しみをなくすのではなく、その悲しみとどう向き合うか?です。大切な人を亡くした悲しみは決して癒える事はありません。そこから自分なりにどう考えて向き合うかが大切です。
【できる事を少しずつ】
悲しい気持ちを抑えて焦って普段の生活に戻ろうと必死になり過ぎるとその後に悲嘆が強くなり、かえって悲しみが長引く事もあります。
気持ちを切り替えて普段通りに生活する事が供養になると考えている方もいるかもしれませんが、そうなると気持ちを必死で抑えている事により、気持ちを表出する場を失い心身に影響をきたす恐れもあります。そのため、例えば「今日は~ができそうだから~をやろう。」そして「頑張ったぞ」とほめて良いのです。
【自分を責める必要もありません】
例えば「どうしてもっと早く気が付かなかったのか?」と思う事もあるかもしれません。がんは最初は症状が乏しくなかなか気付けず、既に進行した状態で分かる事も多いのです。人によっては、さまざまな理由で自分を責めてしまう事があるかもしれませんが、がんは難しい事も多くそう簡単にいきませんので責める必要はありません。必要以上に責めるとその分身体に負荷が掛かり悪影響を及ぼす可能性もあります。
【ご遺族様と関わる上での注意点】
何かをする=その人のためとは限りません。何もしない=その人のためになる事もあります。例えばその人のために言ったつもりが逆に心に傷を付ける事もあります。場合によってはそっと距離を置く事も必要です。また、話す時は相手の話しをしっかり傾聴する事が大切です。そうなると相手も安心して話す事ができ、その人が思っている事を引き出し、お互いに知る事につながります。
以前にお話ししたがんの診断後、不安定な時の過ごし方と周囲(家族など)が本人に必要なサポートの例とがんの患者様や主にサポートしている家族などへの声掛けに気を付けるべき所のコラムと重複しますが、いきなり普段通りの生活を求めるなどプレッシャーを掛ける事や「いつまで悲しんでいるの!?」など責めたり、否定するなどの言葉はご遺族様に負荷が掛かかる事もあります。
【もし、つらくなったら】
例えば悲しみに陥っているのに対し「いい加減しっかりしなよ!!」など言われたとします。人は何かと言ってしまう事もありますが、その時は流したり、本当に信頼できる方に話すのも一つの方法です。先程の責める様な事、プレッシャーを掛ける事、否定する様な事などの言葉はご遺族様に良くないので深刻に考える必要もありません。
他にも一時、元気を取り戻したつもりが、再び何かを思い出して悲しくなるなどで調子が崩れる事も決しておかしい事ではありません。
一般社団法人 リヴオン より
大切な人をなくした人のための権利条約
第1条 悲しんでもいい、落ち込んでもいい
第2条 自分を許してもいい
第3条 考えない、思い出さないときもいい
第4条 自分を大切に
第5条 助けてもらうこと
第6条 みんな違ってそれぞれにいい
第7条 自分の人生を歩んでもいい
INDEX
【まとめ】
不安定になるのは気持ちの問題ではなく自分の力だけではどうにもできない事もあります。いかに無理なく過ごす事が自分の体調に大きく関わります。
【参考、引用文献】
喪失とともに生きる 対話する死生学
喪失学 「ロス後」をどう生きるか
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