がん免疫療法コラム
胆管がんが治った人はどれくらいいる? ステージ別5年生存率や治療法について解説
がんは発生部位や進行度によって、治癒経過も異なります。では、肝臓の中や外などに発生する胆管がんが治った人はどれくらいいるのでしょうか。
胆管がんの患者さんや親族の方に向けて、ステージ別5年生存率や治療法について解説します。ぜひ参考にご覧ください。
INDEX
胆管がんとは?
まず胆管がんとは、どのようながんのことか概要について紹介します。
胆管がんは、がんが発生した場所によっていくつかに分類されます。がんが発生した場所が肝臓の中なら、肝内胆管がん(胆管細胞がん)と呼ばれます。がんが発生した場所が肝臓の外なら、肝外胆管がんと呼ばれます。
さらに、胆管のどの部分に発生したかによって、肝門部領域胆管がんと遠位胆管がんに分けられます。
胆道がんと胆管がんは混同されやすいですが、胆道がんは胆道にできるがんの総称です。胆管がんは胆道がんの一種であり、肝内胆管がんや肝外胆管がんなども、胆道がんに含まれます。
胆管がんの症状
続いては、胆管がんの症状について、肝内胆管がんと肝外胆管がんに分けて紹介します。
肝内胆管がんと肝外胆管がんどちらであっても、黄疸が出ることがあります。その他の症状についてはがんができる位置によっても異なります。
次章で、各胆管がんの症状について詳しく解説します。
肝内胆管がん
肝内胆管がんの症状を紹介します。
肝内胆管がんは、初期症状は見られないことが多いです。進行すると黄疸が出ることがあります。
肝外胆管がん
肝外胆管がんは、以下に挙げる症状が出ることがあります。
- 黄疸
- 茶色っぽい尿の色
- 皮膚のかゆみ
- 白っぽい便
- みぞおちや右わき腹の痛み
- 発熱、だるさ
- 食欲不振
- 体重減少
胆管がんのステージ
胆管がんのステージ(病期)を紹介します。胆管がんのステージは、0期〜Ⅳ期まであります。肝内胆管がんと肝門部領域胆管がん、遠位胆管がんそれぞれでステージの分類が異なりますので、それぞれのステージを表形式で紹介します。
肝内胆管がんの病期分類は、以下の通りです。
Ⅰ期 | がんの数は一個で、大きさは2センチ以下かつ血管や主要胆管に及んでいない |
Ⅱ期 | 以下のうち2項目に当てはまり転移はない。
・がんの数が一個 ・大きさは2センチ以下 ・血管や主要の胆管に及んでいない |
Ⅲ期 | 以下のうち1項目のみ当てはまり転移はない。
・がんの数が一個 ・大きさが2センチ以下 ・血管や主要の胆管に及んでいない |
ⅣA期 | がんの数が2個以上で大きさが2センチを超えており、血管や主要胆管に及んでいるが転移はない。もしくはリンパ節転移があり、以下のうち1項目以上に当てはまる。
・がんの数が一個 ・大きさが2センチ以下 ・血管や主要の胆管に及んでいない |
ⅣB期 | がんの数が2個以上で大きさが2センチを超えており、血管や主要胆管に及び、かつリンパ節転移がある。もしくは遠隔転移がある。 |
治った人はどれくらいいる? ステージ別胆管がんの5年生存率
胆管がんと診断され、治った人はどれくらいいるのでしょうか。胆管がんと診断された後でも、適切な治療により生存率を向上させることが可能です。胆管がんの中でも、肝内胆管がんの5年生存率を紹介します。
そもそもがん治療における5年生存率とは「手術5年後に生存しているかどうか」の指標です。混同されがちですが、5年生存率とは、完治しているかどうかを評価する指標ではありません。治療から5年を経過して生存していたとしても再発している可能性はあるものの、一つの目安として確認できるでしょう。
生存率が100%に近いほど治療で生命を救えるがん、0%に近いほど治療で生命を救いにくいがんです。ステージによっても、生存率が異なります。
表形式で生存率(ネット・サバイバル)を紹介します。
病期 | 対象数 | 集計対象
施設数 |
生存状況把握割合 | 平均年齢 | 実測生存率 | ネット・サバイバル |
全体 | 2,046 | 404 | 98.8% | 71.0歳 | 19.2% | 21.1% |
Ⅰ期 | 547 | 264 | 98.8% | 71.2歳 | 52.7% | 58.2% |
Ⅱ期 | 552 | 287 | 99.5% | 70.9歳 | 31.8% | 34.9% |
Ⅲ期 | 147 | 146 | 97.8% | 71.0歳 | 27.4% | 29.8% |
Ⅳ期 | 745 | 404 | 98.7% | 70.6歳 | 5.5% | 6.0% |
胆管がんの主な治療法
続いては、胆管がんの主な治療法を紹介します。
基本的には手術療法が検討され、手術ができない場合には薬物療法や放射線療法、胆道ドレナージなどが行われます。治療が妊娠・出産に影響する可能性もあるので、将来子どもをもつことを希望している場合には事前に医師に相談するようにしましょう。
手術療法
胆管がんの主な治療法の1つ目は、手術療法です。
手術療法はがんを物理的に取り除く方法です。がんのできた場所によっては、がんとともに肝臓の一部を切除するケースがあります。手術療法では、事前に残肝予備能評価と呼ばれる手術ができるかどうかの検討が行われます。
胆管がんの種類によっても手術の方法は異なるため、それぞれの手術概要を表形式で紹介します。
肝内胆管がん | がんが肝臓の右葉・左葉のどちらかだけにある場合には、がんとその周辺の肝臓の一部、あるいはがんのある側を切除します。また、がんが左右の葉を越えて広がっている場合には、拡大肝葉切除を行います。がんが肝門の近くにある場合には、肝外胆管や胆のうの切除が行われます。さらに同時に、周囲のリンパ節郭清を行うケースもあります。 |
肝門部領域胆管がん | 肝門部領域胆管がんでは、がんを取りきることを目的としています。胆管のほかに肝臓など周りの臓器の一部や、周辺のリンパ節も切除することが一般的です。肝門部領域では、胆管・門脈・肝動脈が分岐しており構造が複雑ですので、肝門部領域胆管がんの手術は難易度の高い手術になります。切除後は、残した胆管と小腸の一部を繋いだり、臓器の機能を回復するための再建手術を検討します。 |
遠位胆管がん | 遠位胆管は膵臓を通っています。そのため、遠位胆管にできたがんは膵臓へ広がってしまうケースがあります。そのため膵頭十二指腸切除を行って、胆管・胆のう・膵頭部・十二指腸・連続する胃や腸の一部を切除するのが一般的です。同時に、周囲のリンパ節郭清も行います。切除後は、食物や消化液が小腸に流れるように再建手術を行います。 |
手術療法の合併症
次に手術療法で起こり得る、主な合併症について紹介します。
- 肝不全
- 胆汁漏、膵液漏
- 胸水、腹水
- 胆管炎
薬物療法
胆管がんの主な治療法の2つ目は、薬物療法です。
薬物療法は、抗がん剤によってがん細胞の増殖を防いだり、破壊したりする治療方法として知られています。抗がん剤は、飲み薬や点滴、注射などで投与するものもあり、幅広い投与方法が用いられています。手術を行えない場合や手術でがんを取りきるのが難しい場合、がんが再発した場合などで選択されることが多いです。
薬物療法だけでがんを完治させることは難しいですが、がんの進行を抑えたり症状を緩和させたりすることが可能です。手術の後に、補助療法を目的に薬物療法や化学放射線薬物療法を行うこともあります。
ただし、効果が十分に証明されていないため標準治療ではありません。
薬物療法の副作用
薬物療法で起こり得る主な副作用を紹介します。
- 食欲不振
- 吐き気
- だるさ
- 脱毛
- 白血球減少
- 貧血
- 血小板減少
- 間質性肺炎
- 手足のしびれ
- 涙目
など。
放射線療法
胆管がんの主な治療法の3つ目は、放射線療法です。
放射線療法では、手術療法同様に局所的な治療が行えます。がんの部分に放射線をあてて治療します。放射線があたると刺激を感じるイメージがありますが、放射線があたっても、痛みや熱を感じることはありません。手術後にがん細胞が残っていたり、リンパ節に転移があったりした場合に、放射線療法や化学放射線療法が選択されることがあります。
また、手術ができない場合で遠隔転移がみられない場合に、がんの進行を遅らせたり痛みを和らげたりすることを目的に放射線治療が行われることもあります。ただしこれらの効果は十分には証明されていませんので、放射線治療を取り入れる際は慎重に検討しましょう。
放射線療法の副作用
次に、放射線療法で起こり得る主な副作用を紹介します。放射線照射後90日以内に起こり得る症状は以下の通りです。
- 食欲不振
- 悪心
- 嘔吐
- 全身倦怠感
- 胃炎
- 腸炎
など。
放射線照射後90日以降に起こり得る症状は以下の通りです。
- 胆道狭窄
- 肝機能障害
- 腎機能障害
- 消化性潰瘍
- 腸穿孔
など。
その他に検討できる胆管がんの治療法
続いては、その他にも検討できる胆管がんの治療法や痛みの緩和方法などをいくつか紹介します。
免疫療法
手術療法や放射線療法以外に検討できる胆管がんの治療法として、免疫療法があります。免疫療法とは、治療を受ける方の体に元々備わっている免疫細胞を利用して、がんを治療する方法です。
免疫療法は、大きく以下の2つに分けられます。
免疫チェックポイント阻害薬による治療法と、免疫細胞療法です。胆管がんの場合、それぞれの治療法を検討できます。
免疫チェックポイント阻害薬による治療法
免疫チェックポイント阻害薬では、免疫細胞ががん細胞を攻撃する力を保つための薬を用います。T細胞やがん細胞のアンテナに作用し、免疫にブレーキがかかることを防ぐことができます。
ただし免疫チェックポイント阻害薬を使用すると、さまざまな副作用が起こる可能性があるため注意が必要です。
胆管がんの治療として、免疫チェックポイント阻害薬のデュルバルマブに健康保険の適用になりました。デュルバルマブを使用した際に副作用が起こる恐れもあるので、どのような症状が考えられるのか事前に確認しておくようにしましょう。
免疫チェックポイント阻害薬使用時に起こり得る主な副作用は以下の通りです。
- 白血球や血小板の減少
- 貧血
- 吐き気
- 便秘
- 下痢
- 甲状腺機能の低下
- 肝障害
- 糖尿病
など。
免疫細胞療法
続いては、免疫細胞療法の概要を紹介します。
免疫細胞療法は、がんの種類やステージを問わず受けられる治療です。他の治療法と組み合わせて受けられます。再発・転移予防にもなり、重篤な副作用は少ないです。
免疫細胞療法といってもさまざまな種類の治療法があります。ここではいくつかの治療法について、表形式で概要や特徴を紹介します。
NK細胞療法 | NK細胞療法では、患者さんの体から取り出した血液中のNK細胞を高活性化培養して行う療法です。NK細胞が活性化しがん細胞を攻撃します。その結果がんの進行を抑制したり、がんを小さくする効果が得られます。抗がん剤治療の免疫抑制により、がん細胞に対する免疫細胞の抵抗力が落ちてしまった場合の免疫増強にも効果的です。 |
アルファ・ベータT細胞療法 | アルファ・ベータT細胞は、免疫の中でも体内に侵入した外敵や異物に対してさまざまな働き掛けをする T 細胞の大部分を占める細胞です。がんに対する攻撃力が高いことで知られています。アルファ・ベータ T 細胞療法は、血液中からαβT 細胞のもととなる血液細胞を取り出し、体外で活性化・増殖させたのち、再び体内に戻しその細胞にがん細胞を攻撃させようとする治療法です。 |
樹状細胞ワクチン療法 | 体に備わっている免疫の司令役である樹状細胞を利用した療法です。樹状細胞ワクチンは、樹状細胞の力を利用してがん細胞を狙って攻撃する免疫細胞であるキラーT細胞を増殖させる治療方法として知られています。キラーT細胞を増殖させることで、体内でがん細胞を狙い撃ちして、効率よく治療を進められるという特徴があります。 |
6種複合免疫療法 | 6種複合免疫療法は、がん細胞を発見、認識、攻撃するなどそれぞれ役割を持つ免疫細胞を同時に増殖・活性化することで、より効果的にがん細胞と闘えるように免疫力を高める治療法です。一部の白血病を除く、ほぼ全てのがんに対応しています。手術や抗がん剤治療、放射線治療が難しいがんや、がんの再発や転移の予防にも効果が期待できます。 |
緩和ケア・支持療法
手術療法や放射線療法以外に検討できる胆管がんの治療法として、緩和ケア・支持療法があります。緩和ケアとは、患者の方の体のつらさや精神的なつらさ、社会的なつらさを緩和させるケアのことです。
がんと診察されたタイミングから、いつでも受けられます。支持療法とは、がんそのものによる症状やがんの治療に伴う合併症や副作用、後遺症などの症状を軽減するための予防やケアのことです。
まとめ
今回は、胆管がんが治った人はどれくらいいるのか、情報をまとめました。
胆管がんと診断されても、適切な治療により生存率を向上させることが可能です。肝内胆管がんの5年生存率はステージにもよって異なります。胆管がんの治療法としては、手術療法・薬物療法・放射線療法が知られています。この他にも免疫療法や緩和ケア、支持療法なども検討されます。
福岡同仁クリニックは、今回紹介した6種複合免疫療法を提供しています。
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治療内容は採血と点滴だけですので、非常に簡単です。
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