がん免疫療法コラム
生活習慣病と免疫の関係
生活習慣病は食生活、運動習慣、飲酒、喫煙などの生活が関係して起こる病気ですが、そこから生じる症状からさまざまな影響を及ぼします。
【動脈硬化と炎症の関係】
生活習慣病の症状の一つである動脈硬化とは、血管内にコレステロールがたまると血管の中が狭くなり、血液の固まりができ、流れも悪くなります。
血管内に酸化LDLが付着し血管が傷付くと炎症反応が起きて白血球の一種であるマクロファージが異物と見なし、捕食するものの大量の場合は処理しきれず動けなくなり死骸となってたまり大きくなる事で悪化に繫がります。
主に関係する疾患として高血圧、糖尿病、脂質異常症などの他にも歯周病も炎症物質により血流に乗って全身に回り動脈硬化が進行するリスクがあります。
酸化LDLについて
LDLはコレステロールを運ぶ働きをし、酸化LDLは活性酸素などにより酸化された物です。
酸化は体内に取り込まれた酸素の一部が活性化した物を活性酸素と言います。主な働きとして細胞内での伝達や感染を防ぐなどがあります。
活性酸素が必要以上に多くなると細胞などが傷付き、主な要因として大気汚染、お酒の飲みすぎ、喫煙、ストレスなどです。その害から守る働きを抗酸化作用と言いますが、活性酸素が上回ると酸化ストレスとなり害から守ろうにも間に合わなくなります。
【糖尿病による感染のリスク】
糖尿病は膵臓のβ細胞からインスリンと言った血糖値を下げる働きをした物質が出て来ますが、そのインスリンの出てくる量が減ると血糖値が高くなります。糖尿病も感染症のリスクがあり、その理由は血液の流れも悪くなるため細胞がうまく働けなくなります。例えば体内に異物が入った場合、白血球がその場所に到達しづらくなったり、その他にも合併症の一つとして神経障害は感覚も分からなくなり、けがをして傷があっても気付きにくく悪化の恐れなどさまざまです。
【肥満症と炎症の関係】
脂質細胞(皮膚の構造の一つである皮下組織などに存在する)は生体内の働きに必要な物質の一つにアディポサイトカインを作り出します。アディポサイトカインには善玉と悪玉があります。善玉のアディポサイトカインはインスリンの働きを良くしたり、エネルギー消費を強くしたり、食欲を抑えるなどの良い働きをしますが肥満症の場合、脂質が大量にたまっているため善玉のアディポサイトカインの働きが減少し、悪玉アディポサイトカインが増加します。悪玉が増加するとTNF‐α(インスリンの働きを悪くする)やPAI‐1(血液が固まり流れが悪くなる)などの物質を過剰に作り出す事で炎症反応を起こすなどの悪い働きをします。
【まとめ】
生活習慣病も免疫と関係し、その症状として動脈硬化や感染症などのリスクに注意が必要です。その様な症状を防ぐためにも生活習慣を振り返る事も大切です。
【参考・引用文献】
LDLコレステロール | e-ヘルスネット(厚生労働省) (mhlw.go.jp)
活性酸素と酸化ストレス | e-ヘルスネット(厚生労働省) (mhlw.go.jp)
酸化LDL | e-ヘルスネット(厚生労働省) (mhlw.go.jp)
平成17年度 健康科学特別研究募集要領 (auhw.ac.jp)
糖尿病と感染症のはなし | 糖尿病情報センター (ncgm.go.jp)
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