がん免疫療法コラム

プライムCAR-T細胞(PRIME CAR-T細胞)を免疫療法のクリニックが徹底解説。固形がんに挑む次世代治療の仕組み・臨床試験・受診可能になる時期をわかりやすく解説

「プライムCAR-T細胞」という言葉を、新聞やニュースで目にして関心を持った方も多いのではないでしょうか。

CAR-T細胞療法は、血液のがんで効果が出ている免疫療法ですが、胃がんや膵臓がんのような「固形がん」にはなかなか効きにくいという課題がありました。その課題を乗り越えようとする次世代の技術が「プライムCAR-T細胞(PRIME CAR-T)」です。

この記事では、そもそもCAR-T細胞療法とは何かという基礎知識から、プライムCAR-T細胞の仕組み・特徴・研究の現状、そして今受けられる免疫療法の選択肢までわかりやすく解説します。

CAR-T細胞療法とは

プライムCAR-T細胞を理解するために、まずは「CAR-T細胞療法」について知っておきましょう。CAR-T細胞療法は、患者さま自身の免疫細胞を取り出して手を加え、がんを攻撃する力を大幅に高めてから体内に戻す、最先端の免疫療法です。

CAR-T細胞療法の仕組み

私たちの体を守る免疫の中心的な存在に「T細胞」という白血球の一種があります。CAR-T細胞療法では、まず患者さまの血液からこのT細胞を取り出します。そして、がん細胞の目印(がん抗原)を見つけ出して攻撃するための「CAR(キメラ抗原受容体)」という人工的な部品を、遺伝子操作によってT細胞に組み込みます。こうしてパワーアップしたT細胞(CAR-T細胞)を体外で増やしてから点滴で体内に戻すと、CAR-T細胞ががん細胞を探し出して攻撃します。いわば、患者さま自身の免疫細胞を「がんを狙い撃ちする専門部隊」に作り変える治療法です。

参考:日本造血・免疫細胞療法学会 CAR-T細胞とは

血液がんで高い成果を上げてきた

CAR-T細胞療法は、白血病や悪性リンパ腫といった「血液のがん」に対して、これまでの治療では効果が得られなかった患者さまにも高い効果を示してきました。世界初のCAR-T細胞療法は2017年に米国で、2019年3月には日本でも承認され、現在は複数の製剤が血液がんの治療に使われています。国立がん研究センター中央病院でも、再発・治療抵抗性の大細胞型B細胞リンパ腫などを対象に、保険診療として行われています。

参考:国立がん研究センター中央病院 CAR-T細胞療法のご案内

固形がんに効きにくいという課題

血液がんで大きな成果を上げたCAR-T細胞療法ですが、胃がん・膵臓がん・大腸がんのように臓器にかたまりを作る「固形がん」に対しては、なかなか十分な効果が得られていません。その理由は大きく2つあります。1つは、固形がんは血液がんと違って塊を作るため、CAR-T細胞ががんの内部まで十分に入り込みにくいこと。もう1つは、がんの塊の中には目印(抗原)を持たないがん細胞も混じっており、そうした細胞は攻撃を逃れて生き残ってしまうことです。この2つの壁が、固形がんへのCAR-T細胞療法を難しくしてきました。

プライムCAR-T細胞(PRIME CAR-T)とは

こうした固形がんの壁を乗り越えるために開発されたのが、次世代型の「プライムCAR-T細胞(PRIME CAR-T)」です。

プライムCAR-T細胞が生まれた背景

プライムCAR-T細胞は、山口大学大学院医学系研究科・免疫学講座の玉田耕治教授らの研究グループによって開発された技術です。「PRIME」とは、英語の「Proliferation-inducing and migration-enhancing」の頭文字をとったもので、日本語では「増殖を促し、移動を助ける」という意味になります。

参考:山口大学 免疫でがんに挑む CAR-T細胞療法

「増殖」と「引き寄せ」を助ける2つの物質

プライムCAR-T細胞の最大の特徴は、CAR-T細胞が「IL-7(インターロイキン7)」と「CCL19(シーシーエル19)」という2つの物質を、自分自身で作り出すように改良されている点です。少し難しい名前ですが、はたらきはシンプルです。

IL-7は、T細胞が元気に増えたり長く生き続けたりするのを助ける物質(サイトカイン)です。
CCL19は、免疫細胞をその場所に引き寄せる、いわば「集合の合図」のような物質です。
この2つを自ら作ることで、プライムCAR-T細胞はがんの塊の中でしっかり増え、さらに患者さま自身のほかの免疫細胞まで呼び寄せて、みんなでがんを攻撃できる環境をつくり出します。

参考:ノイルイミューン・バイオテック PRIME CAR-T

従来のCAR-Tとの違い

従来のCAR-T細胞は、自分が持つ目印に合ったがん細胞しか攻撃できませんでした。これに対してプライムCAR-T細胞は、自分でがんを攻撃するだけでなく、周りの免疫細胞を呼び集めることで、目印を持たないがん細胞にも間接的に攻撃が及ぶことが期待されています。「一人で戦う兵士」から「仲間を呼んでチームで戦う司令官」へと進化させたようなイメージです。この仕組みによって、固形がんの2つの壁(入り込みにくさと、目印を持たない細胞の生き残り)の両方に対応しようとしています。

プライムCAR-T細胞の有効性と研究の現状

動物実験で示された高い効果

プライムCAR-T細胞の効果は、まず動物(マウス)を使った実験で確認されました。固形がんを持つマウスにプライムCAR-T細胞を静脈から投与したところ、従来のCAR-T細胞よりもはっきりとがん組織に集まり、高い治療効果を発揮したことが、2018年に科学雑誌「Nature Biotechnology」で報告されています。さらに、一度がんが消えたマウスでは、目印を持たないタイプのがん細胞に対しても、長期間にわたって再発を防ぐ効果が見られたと報告されています。

参考:ノイルイミューン・バイオテック PRIME CAR-T(Nature Biotechnology, 2018

人を対象とした臨床試験の段階

動物実験で有望な結果が得られたことを受け、現在は人を対象とした臨床試験(治験)が進められています。この技術は、ノイルイミューン・バイオテックという会社が実用化を進めており、中外製薬や武田薬品といった製薬会社と協力しながら、すい臓がん・胆道がん・大腸がんなど、治療が難しい固形がんを標的とした開発が行われています。ある初期段階の臨床試験では、対象となった患者さま11名のうち、肝細胞がんの1名で約6か月にわたる腫瘍の縮小が続いたことが報告されています。ただし、対象となった人数がまだ少なく、他の患者さまでは明確な縮小効果が限られていたため、この結果は慎重に受け止める必要があります。安全性は良好で、効果の手がかりが見え始めた段階、というのが正確な理解です。

参考:がんプレシジョン・メディシン.com 次世代CAR-T療法「PRIME-CAR-T」とは

現時点ではまだ承認されていない

プライムCAR-T細胞をはじめとするIL-7/CCL19産生型の次世代CAR-T細胞療法は、2026年8月時点で、日本を含め世界のどこでもまだ正式な医薬品として承認されていません。つまり、現在は研究・治験の段階にあり、一般の医療機関で誰でも受けられる治療ではないということです。将来的に有望な技術であることは間違いありませんが「今すぐ受けられる確立された治療法」ではない点は理解しておく必要があります。開発の進み具合によって状況は変わっていくため、最新の情報は主治医や公的な情報源で確認することをおすすめします。

CAR-T細胞療法の副作用と注意点

CAR-T細胞療法は強力な治療である反面、特有の副作用があることも知っておく必要があります。これはプライムCAR-T細胞を含む、CAR-T細胞療法全般に共通する注意点です。

サイトカイン放出症候群(CRS)

最も注意が必要な副作用が「サイトカイン放出症候群(CRS)」です。これは、体内に戻したCAR-T細胞が一気に活性化することで、炎症を引き起こす物質(サイトカイン)が大量に放出され、全身に強い炎症反応が起こるものです。症状は、発熱、血圧の低下、呼吸の苦しさなどで、多くは投与後1週間以内に現れます。重症化する場合もありますが、トシリズマブ(アクテムラ)やステロイドといった薬で対処できることがわかっています。

参考:日本造血・免疫細胞療法学会 CAR-T細胞療法後の合併症

神経系の症状(ICANS)

もう1つ知られている副作用が、神経系の症状(ICANS)です。言葉が出てこない、日付や場所がわからなくなる、といった症状が現れることがあり、重症の場合には意識障害やけいれんを起こすこともあります。こうした症状に備えて、CAR-T細胞療法は慎重な経過観察のもとで行われます。

受けられる医療機関が限られる

CAR-T細胞療法は、これらの副作用に適切に対応できる体制が必要なため、実施できる医療機関が限られています。血液がんに対する現在のCAR-T細胞療法でも、投与後は一般に約1か月程度の入院が必要とされ、専門施設での慎重な管理のもとで行われます。プライムCAR-T細胞のような固形がん向けの治療が将来実用化された場合も、同様に高度な管理体制が求められると考えられます。

今受けられる免疫療法という選択肢

「新しい治療」を待つ間にできること

プライムCAR-T細胞は、固形がんに悩む多くの方にとって大きな希望となる技術です。しかし、前述のとおり現時点では治験の段階にあり、実際に治療として受けられるようになるまでには、まだ時間がかかると見込まれます。一方で、がんと向き合う患者さまやご家族にとって、時間はとても大切です。そこで「新しい治療の実用化を待つ間に、今できることはないか」という視点も、選択肢を考えるうえで役立ちます。実は、CAR-T細胞療法とは異なるアプローチで、すでに実施されている免疫療法もあります。

遺伝子改変を行わない細胞免疫療法

CAR-T細胞療法は、T細胞に遺伝子操作を加えてパワーアップさせる治療でした。これに対して、遺伝子改変を行わず、患者さま自身の免疫細胞を取り出して活性化・増殖させ、体内に戻すタイプの「細胞免疫療法」もあります。このタイプは、遺伝子操作をしない分、体への負担が比較的少ないとされ、自由診療として全国の医療機関で提供されています。CAR-T細胞療法とはまったく別の治療法ですが「自分自身の免疫の力を高めてがんと闘う」という考え方は共通しています。

6種複合免疫療法という選択肢

遺伝子改変を行わない細胞免疫療法の一例として、福岡・熊本・横浜に院を構える同仁クリニックが行う「6種複合免疫療法」を紹介します。これはプライムCAR-T細胞とは異なる治療法であり、同クリニックでプライムCAR-T細胞が受けられるわけではありません。あくまで今受けられる免疫療法の一例として、参考にしてください。

6種類の免疫細胞をチームで活性化させる治療法

6種複合免疫療法は、患者さま自身の血液を少量採取し、その中の6種類の免疫細胞を取り出して、専用施設で約3週間かけて培養・活性化させる治療法です。

  •     ヘルパーT細胞:免疫の司令塔
  •     キラーT細胞:がんを直接たたく主力部隊
  •     NK細胞:がん細胞を素早く攻撃
  •     NKT細胞:強力な攻撃力を持つ
  •     γδ(ガンマデルタ)T細胞:幅広いがんに対応
  •     樹状細胞:がんの情報を他の免疫細胞に伝える

1,000〜2,000万個だった免疫細胞を20〜50億個にまで増やし、点滴で体内に戻します。役割の異なる6種類の細胞が「チームプレー」で攻撃するため、1種類だけを使う場合より高い効果が期待できるとされています。

参考:6種複合免疫療法とは

①副作用が少なく、入院も不要

ご自身の細胞を使うため、抗がん剤のような強い副作用やアレルギーがほとんどない点が大きな特徴です。治療は採血と点滴(1回20〜30分程度)のみで完結し、入院の必要がありません。通院や訪問診療で受けられるため、仕事や家庭での生活を続けながら治療を続けられます。

②標準治療との併用で相乗効果が期待できる

6種複合免疫療法は、手術・抗がん剤・放射線といった標準治療と併用できる点も特徴です。手術後に残ったがん細胞への対応や、再発・転移の予防にも役立つとされています。なお、一部の血液がん(T細胞・NK細胞・NKT細胞型の白血病/悪性リンパ腫)を除き、ほぼすべてのがん種に対応しております。

③臨床データに基づく治療効果

同仁がん免疫研究所の調査(2020年6月〜2024年7月、380名対象)では、1クール(6回)を終えた患者さまの進行抑制率(がんが縮小〜変化なしと判定された割合)が約79%と報告されています。

「最新の治療について詳しく知りたい」「今の自分に合う免疫療法を相談したい」とお考えの方は、まず専門のスタッフに相談してみることをおすすめします。

よくある質問(FAQ)

Q1. プライムCAR-Tは今すぐ受けられますか?

2026年8月時点では、プライムCAR-Tは臨床試験段階にあり、一般の医療機関で受けられる承認された治療ではありません。実用化の時期は、今後の臨床試験の結果によります。

Q2. プライムCAR-Tと従来のCAR-Tは何が違うのですか?

従来のCAR-Tは血液がんに使われますが、固形がんには効果が届きにくいという課題がありました。プライムCAR-Tは、IL-7とCCL19という2つの物質を自ら作り出すことで、固形がんの塊の中にも免疫細胞を集められるよう改良された次世代型のCAR-Tです。

Q3. CAR-Tと6種複合免疫療法はどちらが優れていますか?

単純にどちらが優れているとは言えません。両者はアプローチが異なり、CAR-T(プライムCAR-Tを含む)は遺伝子を改変してがんへの攻撃力を高める治療、6種複合免疫療法は6種類の免疫細胞をそのまま活性化して使う治療です。現時点で受けられるかどうか、対象となるがんの種類などをふまえ、専門医と相談して選ぶことが大切です。

Q4. 固形がんに免疫療法は効くのですか?

固形がんは免疫療法の効果が出にくい側面がありますが、免疫チェックポイント阻害薬や複数の免疫細胞を使う療法など、固形がんに対応する治療も広がっています。効果には個人差があるため、専門医にご相談ください。

最新治療を正しく理解し、今できることを考える

プライムCAR-T細胞(PRIME CAR-T)は、これまで固形がんに効きにくかったCAR-T細胞療法の課題を乗り越えるために、山口大学で開発された次世代の免疫療法技術です。CAR-T細胞にIL-7とCCL19という2つの物質を作らせることで、がんの塊の中で増殖し、周りの免疫細胞まで呼び集めて攻撃する仕組みを持っています。動物実験では高い効果が示され、現在は人を対象とした臨床試験が進んでいますが、2026年8月時点ではまだ正式に承認された治療ではなく、研究・治験の段階にあります。

将来が期待される技術である一方、今すぐ受けられる治療ではないため、実用化を待つ間の選択肢として、遺伝子改変を行わない細胞免疫療法のような「今受けられる免疫療法」を知っておくことも役立ちます。その選択肢の一つが、すでに受けられる免疫細胞療法である6種複合免疫療法です。副作用が少なく、標準治療とも併用でき、固形がんを含む幅広いがんに対応しています。

「最新の治療について知りたい」「今の自分に合う治療を相談したい」という方は、一人で抱え込まず、まずはお気軽にお問い合わせや資料請求をしてみてください。

【がんの治療の選択肢としておすすめする「6種複合免疫療法」

副作用が少なく、他の治療と併用できる!


6種複合免疫療法は、患者さま自身の免疫細胞を一度体外へ取り出し、活性化・増殖させて体内へ戻すことで、がんと闘う力を高める免疫療法です。

治療法は採血と点滴だけの通院治療です。

6種複合免疫療法をおすすめする理由

  • がん3大療法との併用が可能で、ほぼ全てのがんに対応する
  • 副作用が少ないため、体への負担も小さい治療法である
  • 入院が必要ないため、患者さまの生活のリズムを変えることなく治療を行うことができる

がん治療の選択肢の一つとして、6種複合免疫療法もぜひご検討ください。

今すぐ詳細を知りたい方は、以下よりお問い合わせください。

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